検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:4,782 hit

4.喋 ページ4

その後驚いた彼の顔を今でも覚えている。自分でもとんでもないことを口走ってしまったと反省している。反省はしているけれど、間違ってなかった、と思っている。
初めは大迷惑かも、って思っていたけれど何か訳があるの?って真面目な顔で聞いてきたもんだから思わず笑ってしまった。

その時は、詳しい理由について何も話さなかった。ううん、と首を振ると彼は人殺しはしたくないな、と苦笑した。

どうやら彼は真面目な一面もあるらしい。私が本当に殺されることを切望していると思っているらしい。間違いでは、ないけれど。今更説明するのが面倒になってしまい、そのまま放置していたら、それからというもの彼は毎日私に話しかけに来るようになった。

「やっぱり殺さなきゃダメ?」

「うん、殺さなきゃダメ。」

こんな物騒な会話を毎日、飽きずに教室でしている。大分おかしい。配慮して、周りに聞こえないように話してくれるが相当突飛だ。

とりあえず、ここまでが彼と私が関係を持つようになった経緯。きっかけは、本当に些細な出来事。学校の授業。全クラス共通の国語の課題。
それがいつの間にか大きな関係になるなんて、思いもしなかった。



ある日の朝、彼は教室に入ってくるやすぐに私のところに来た。

「ねぇ、夜野さんは死なないよね?」

「え…なに急に。」

「夜野さんは、俺が殺してあげるから、勝手に死んじゃダメだよ。」

「物騒だな〜」

「殺してって言ったの夜野さんじゃん!」

ごめんごめん、と返すと俺は真面目なんだからな、と威張った。朝練後だからか、うっすらとかいている額の汗がきらり、と光った。ふわっと香る石鹸のいい香りが不思議と心地いい。

私も真面目だよ、本当に殺して欲しいと思っている。君になら、命を奪われても構わないかなぁ。

「にしても、夜野さんってもっと大人しい人だと思ってた。」

彼と絡み始めてそろそろ2週間がたとうとしているのに、今更。

「なんか…うーん、なんだろうね。」

私自身、自分じゃないみたいだって思ってきている。古森元也という人間と関わり初めて何かが変わっているのを身に染みて感じていた。

5.暖→←3.彼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.3/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:HQ , 古森元也
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あのね(プロフ) - 面白かったです〜〜!素敵な作品ありがとうございます!! (4月16日 21時) (レス) @page12 id: 695de6ced5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名482 - 面白かったです (2022年5月7日 23時) (レス) @page12 id: e922a09c70 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:うみね | 作成日時:2020年5月31日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。