1ヶ月に1度、彼女は手紙となって帰ってくる。

4通目 ページ4

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俺はまた変わらぬ日々を過ごしていた。


即ち、Aから手紙が来るという生活の変化はあれ以来起きていない。手紙はあれから1ヶ月経った今も届いていないのだ。

怒りや悲しみという感情を置き去りにして、俺は至極呆れていた。


あの一瞬でも喜んでいた自分。
結局Aの気分で踊らされていたのか。

また……期待したまま待たされるのか。


もうどうでも良くなって今日の実況でも撮るか、なんて思っていたその時。


ガタン、と郵便受けの音が耳に届いた。

あぁ、これはあれか。
文通するために大量に買った……便箋達か。


「無駄になったし……届くの遅せぇよ」


そんな言葉を吐きながら渋々郵便受けまで取りに行き、手を突っ込むとそこには

ただ一通の手紙が入っていた。


差出人は予想を裏切らず、Aだった。


俺は時が止まったのを感じるのと同時に早く開けたい衝動に駆られその場で手を使って封を開いた。


1枚の手紙。俺は上から目を通す。



〚キヨくん、Aです。
時間空けちゃってごめんね。

でも私にとって嬉しいお知らせ！
小説の構想を練るのがとっても順調です。

とっても素敵な物語を思いついたんだ。
楽しみにしていてね。きっとキヨくんは喜んで、そして泣いてくれると思う。
1年以内には完成すると思うんだ。

キヨくんの生活はどう？最近はどんなゲームが出たのかな？私は全くそういうの詳しくないけど、キヨくんの実況を楽しみにしてくれてる人達のためにこれからも動画をいっぱいあげてほしい！私もその1人だよ。

今回はこれくらいにしとくね。
また送るね！Aより〛


「……また、送るね」


1番最後に書かれたその文字に心が踊る。

約束……てことだよな。
しかも小説作り進んでるって。
俺の実況を楽しみに待ってくれてるって。


何もかもが嬉しくて、悔しい。
返事が来ないと諦め呆れていた俺。


信じて……待ってみよう。
きっとまた送ってくれる。


俺らまだ終わってなかったんだ。


安堵感からか涙が出そうになるも、グッとこらえた。

この涙はAの小説を読んだ時に流すために取っておこう。


俺は急いで1ヶ月前に買った便箋を手に取りペンを走らせた。


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