検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:2,618 hit

五灯 料理上手 ページ5

「ただいまー!」
「おかえりなさいレティ〜。ホルシアートさんも、いらっしゃい」
「すみません、お邪魔します」


彩り鮮やかなサラダを抱えて微笑むテレシアさん。レティと同じ金の髪が、腰の辺りでさらりと揺れる。
オールドローズ家、奥方。


「これ少しですがオートミールです。ミッドフォード社のだそうですよ」
「あらミッドフォードの!いつもありがとうございます〜。じゃあ、早速ポリッジにしちゃいましょうか!」
「ポリッジ!わたし母さまのポリッジ大好きよ!」
「ありがとう、レティ。お手伝い頼んだわよ〜」
「まかせて!」
「私もお手伝い致します」



○●○●○●○



昼夜お構い無しに気温が動くこのロンドン、ジャルドーレ通りの朝は大抵冷たい。
オールドローズ家のポリッジの美味しさの秘密であるハチミツは、それ故よく凍ってしまうのだ。


銀のスプーンでさくさくとハチミツを掬い、瓶に入れて湯煎する。かき混ぜて徐々に溶けるハチミツは橙色に揺らめいていて。

「(まるで、炎みたいだ)」

温めすぎるのは厳禁、とテレシアさんに言われたのはいつだったろうか。栄養価が下がるかららしいが…俺もよく律儀に覚えているものだな。
やはり料理は嫌いじゃない。


テレシアさんに色々教えてもらえることを、いつもありがたく思っている。彼女達は、横でオートミールの入った鍋をかき混ぜていた。

「スティーブンさんは…」
「生ゴミの袋を持ってまた行きました。ふふ、あの人ったらおっちょこちょいですよね〜」

でも、そんな所を彼女は愛しているのだろう。その笑顔からは、非難の色など見えはしない。

「さあ出来たわ〜!ハチミツをいれてくださるかしら?」
「はい」
「んーいいにおい!とってもおいしそう!ね、ホルス!」
「ええ…今日も美味しそうです。レティ嬢は母君がお料理上手で幸せですね」
「うん!」
「ふふ、さあ盛り付けましょうか。もうすぐ父さまが帰ってくるわよ〜」
「はーい!」

元気よく跳ねて返事するレティ。柔らかそうな金髪も仲良く跳ねる。
この齢六歳の笑顔を見ると、つられて微笑むのは必然のような気さえした。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←四灯 天真爛漫



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , ロンドン , 年の差   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かんだちめ | 作成日時:2018年1月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。