The Shade Japan ～我らの挑戦～ second【イナオリ】【シェイドジャパン】 (ページ42)

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オ腹、ヘッタ（月下院紫月&紺堂日暮）ページ42

紫月は無事にアゲハをシェイドジャパンに送り届けた後、フラリと一人で目的もなくさまよっていた。

『…(どうも試合の後って言うのは、興奮が収まらないんだよね。)』

自身の病気のせいで、まるで獣のようなことを考えてしまっている自分に、嫌気が差す。

獣病は興奮して血がたぎっているときに病状が悪化する。それは吸血病も一緒。だからこの前に日暮と話したとき、紫月は目の前の日暮(獲物)を襲いたくて仕方がなかった。

誰もが目の前にご馳走があるときに「待て」をずっとされ続けられるのは嫌だろう。その状態だったのだ。

そして今日も似たような感覚(本能)に襲われていた。

『…(目を閉じてしまえば、簡単に食らえるのに。楽に、なれるのに。)』

…楽になってはいけない。そうもう一人の紫月が言ってる気がして、紫月は自我をしっかり保とうと両手で頬をバチンと叩いた。

？「おや、紫月じゃないか。」

『…あ、日暮ちゃん。』

両頬の痛みで気づくことが出来なかったのか、紫月の後ろには日暮が眠そうな目を擦りながら佇んでいた。

顔を知っている人が目の前にいる。その事実に、紫月はゴクリと唾液を飲み込んでしまった。

『…っ、目が腫れてるよ。どうかした？』

紺「いいや、何でもないよ。」

『ちゃんとケアしてね。』

紺「分かってるって。」

日暮はそう言っているが、紫月には日暮の目を腫らした理由はだいたい分かっていた。だってその話をしたのは、他でもない紫月自身なのだから。

『…影山でしょ？』