勘違いされたらきりがない。【名探偵コナン】 (ページ1)

今日:28 hit、昨日:74 hit、合計:1,591,149 hit

1 ページ1

ふわふわした意識のなかで、はっきりと。芯のある男性の声が聞こえた。

「君、分かるか？」

その声に少しでも反応をしようと、痛みを我慢して指先だけを動かせば、声の主は「降谷さん！生きてます！！」と遠くに叫んだ。

恐らく降谷さんであろう人物はこちらに駆け寄って私の前にしゃがみこむと、安心したような顔をする。

「救急車は呼んだ。止血は俺がやる、風見は近隣の住民への説明を頼んだ」

「分かりました」

声をかけてくれた男性は私をちはりと見てから、騒がしい外へと飛び出していった。

…………って待て？
色々おかしくないか？
なにナレーションしてんだ私は？

私、さっきトラックに轢かれて生きてる確率なんて絶望的だったと思うんだけど…なんで生きてんだ？

あとさ、目の前の人。どっかで見たことあるんだよ。何かのアニメ……あ、名探偵コナン、みたいなやつ。部活であんまり見ることはなかったんだけど、うっすら記憶にあるんだよね。

でもなんでアニメの人が此処に居んだろ。

『……な、んで、ここに……？』

ハッキリしない声だったけど、彼には伝わったみたいで、見惚れるくらいの笑顔を向けてくれた。

「君を助けにきた。
…と言っても、こんなに怪我をさせてしまって、本当にすまない」

貴方は私のボディガードか。
これは不可抗力だから仕方ないよ。
だってトラックだぞ？4トンだからな？

と伝える気力も体力もないので、ゆるりと首を振って、できる限り笑って見せる。
すると降谷さんは悲しげに笑い返してくれた。