人生とは甘美である。Jun.M (ページ25)

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社長室は、奥の方に木製の立派な大きなデスクがあり、その横には広めの棚が置いてあり、その上に写真や記事やトロフィーなどがいくつか展示されていた。

だけど驚いたのは壁の左一面、すなわちこの自社ビルの前面部分である場所が街を映し出していたことだ。
上から見下ろす東京を。

もちろんオフィスでも同じ構図だと思うけれどたくさんのデスクに埋もれてちゃんと意識したことがなかった。

「こちらにどうぞ。」

松本さんが社長室の景色に圧倒されている私の意識を戻した。

その見惚れていた景色をよく見渡せる位置にソファとテーブルがあり、そこへ座るよう合図した。

ソファに座る松本さんの、テーブルを挟んだ対面側のソファにそっと「失礼します」と声をかけて座った。

「そんな緊張しないでください(笑)」

「…っ、すみませんっ。」

そう言われても、ちゃんと目線を上げられない。

「ようこそ、JCホールディングスへ。
えっと部門は経済部門の促進販売部ですよね？」

「はい。…今まで経験がある訳ではなくて、その、新しい分野に飛び込ませてもらって感謝しています。…っ、これから勉強しながら頑張ります。」

声が動揺で上擦る。

緊張なのか、バレたくないのか、それとも。

バレたいのか？