32. フクザツ。 ページ34
「おはようございますー」
時刻は14時。フライトコントロールセンター。
出頭サインをしようと自分の搭乗機の書類へむかう。
「あっ...。」
そこに書かれていたのは、男らしい字の、筆記体。
「櫻井さん、来てるんだ...」
今日のフライトは、東京から沖縄へ向かい、同機でこちらへ引き返す往復便。
「また天使に乗れるんだ...」
２回目の櫻井さんとのフライトに、喜びと期待に浸っていると
「よっ！」
振り返ると、山口さんがいた。松岡さん同様、俺たちが散々お世話になっている、先輩。ちょっと(ちょっと？)日焼けした、マラソンとキャンプが趣味の、どっしりとした頼もしい、優しい人。
「おはようございます。」
「はい、おはようございます。」
と言いながら、自身の搭乗機にサインした。山口さんは、新千歳までの、同じく往復便。
「おっ、お前櫻井とかー。ラッキーだな。」
書き終わったペンを胸ポケットにしまいながら、ははっと笑う。
「あの...それ俺が初フライトで櫻井さんと一緒だったときも松岡さんに言われたんですが、
... どういう意味なんですか？ラッキーって... 」
「ん？そりゃーあれだよ、櫻井と言えば大野だろ？“鬼の櫻井”が、あんな顔をするのは、大野の前でだけだもんよ。」
あのラウンジでの一件から、１週間がたった。
大野さんのケガは、まだ通院は続いているけど、順調に回復している。
こんなところで働いてる方が迷惑...
とんだお荷物...
鬼の櫻井...
空に行くの、楽しくなさそうなんだ...
あの日に聞いたことは、あれからずっと、俺の心の中でモヤモヤとしている。
怒りなのか、悲しみなのか、切なさなのか分からないけど、この複雑な処理仕切れない感情をどこにどうもっていけばいいのか分からない。
...黙ってうつむいていると、
「ちょっと、行くか。」
ふーっと軽く息をはいた山口さんが、俺と同じような複雑な表情を浮かべ、それでもこの場の空気を変えるような明るい声で、俺の肩をポンｯとたたき、
「来いよっ」
と、オペレーションセンターに背中をむけて、歩き出した。
33. 二人の、少しの真実。→←31. 櫻井さんの、少しの真実。
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櫻宮 - 大野さんの繊細な心と翔くんの強い気持ち…それを優しく見守る3人が何だか"ほっこり"して凄く好きです！mioさんのお話もっと読みたいです！！ (2019年11月7日 12時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
リカ(プロフ) - こんにちは。先日、旅行に行って参りました。機内から空を見ていたら、もう一度物語が読みたくなりお邪魔させていただいています。2人の物語、5人の物語、幸せな気持ちになります。 (2017年9月4日 22時) (レス) id: c3477e2eb7 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 沙羅さん» 沙羅さん。コメントありがとうございます。ふあふあ大野さん、感じて頂けて嬉しいです☆これからふあふあじゃない彼も、しょーくんとの揺るぎなさも、お届け出来たらなと思います！ラストシーズンまでぜひ、お付き合い頂けたら嬉しいです(^^)よろしくお願いしますっ♪ (2015年3月18日 9時) (レス) id: b1673f9bd6 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 大野さんのあのふあふあかん最高です！櫻井さんの過保護な感じにきゅっときますね、笑色んな関係が見え隠れしてて読むのとてもわくわくします (2015年3月17日 10時) (レス) id: ca60bde7d3 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - えりんこさん» えりんこさん♪お返事遅くなりすみません(;_;)ありがとうございます。嬉しいな。麗しの青さんだなんて、ほんとに嬉しいです。えりんこさんのお話の、凛とした青さんも、私大好きです！なかなかうまく表現できなくて困っていますが、また読みに来て下さったら嬉しいです (2014年11月20日 17時) (レス) id: b1673f9bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2014年6月7日 22時
