ファインダー越しの10年【不死川実弥】

七年 ページ23

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それから私は、結局転職はしなかった。


しのぶの言うまま、確かに私が実弥くんに手を出さなければこの恋心を持つことくらいは許されるのではないかと思ったから。
そして私自身もまた、大人に成長してゆく彼の姿をこの目でしっかり見届けたいと思ってしまったから。


彼は変わらず、毎年ここに来た。
弟、妹の記念撮影の付き添いとして、毎年必ずここに来た。
来たからといって何か言葉を交わすわけでもなく、
1度だけあったように互いの唇が再び触れるわけでもなかったが、実弥くんの姿を1年に1度見れるだけで私の心は満たされた。






私、実は意外と一途じゃないか。




そう思ったのは実弥くんに出会ってから7年目のことだった。
今更？という言葉は聞かないことにする。
実弥くんに出会ってから7年目ということは、私はもう27。
周りの友達は次々と入籍し、ちらほらと出産報告も受ける。友達の子供の写真を撮った回数ももう数え切れない。



「Aもいい人いないの？」という言葉は親戚からも友達からも嫌という程聞いたセリフ。
いい人はいた。この数年間で何度か告白もされた。
けれど私の心の中を占めるのはいつだって彼しか居なかったのだ。





実弥くんと会っても言葉を交わさなくなった今、
彼が私のことをどう思っているのか分かる術もなく。
私から聞く訳にもいかない。




そんなことを考えている間に、7度目になる年に一度のその日がまたやって来た。







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