ファインダー越しの10年【不死川実弥】

再会 ページ12

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ついにこの日になってしまった。
今日は不死川様の予約が入っている日。


…すなわち、あの兄弟にまた会うということ。


彼らが1年も前の言葉を覚えている訳がないのに
私の胸はざわざわとして騒がしい。





「叶芽さん？どこか体調悪いんですか？」

『あ、いや…なんでもない！大丈夫』




店が開いてからずっとこの調子で後輩に心配される始末。
…先輩失格だ。






カチ、カチと時計の秒針が進む音にすら敏感になってしまっているのだから勘弁してほしい。






「もうそろそろ予約の時間ですね〜
去年みたいに上手だといいですけど」

『…そうね』





と2人で話している間にあっという間に12時を知らせる音楽が壁掛けの時計から流れる。
同時に店の扉は開き、そこから見えたのは1年前から1人増えた不死川家の姿。




ドクン

と1度大きく高鳴った心音には聞こえないフリをして
笑顔で彼らを出迎える。

私の仕事はいい写真を撮ること。
それ以外考えてはいけない、と自分に言い聞かせる。






『こんにちは！
お久しぶりですね。お待ちしておりました！』






そう。私は彼のことなんて、何も気にしてない。







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