大切な話 ページ7
「俺が必要って、どういうことなんだ?」
アオイはリストバンドを握りしめて「ダメならここに戻ってもいいから…」とつぶやき、瞳に涙を滲ませた。
アオイは一体なぜそんなに必死なんだと思うが詳しくは教えてくれなさそうだ。
あれだけ一緒にいるメグさんが知らないのだから相当言う気は無いのだろう。
「アオイ…このリストバンド、次来る時まで預かってもいいかな。」
今にも泣きだしそうなアオイは軽く目を擦り、リストバンドを差し出してくれた。
「俺にも準備をさせてくれるかな。アオイがもし来るなら部屋の片付けをしないと!」
俺が笑って見せると、「うん…お部屋きれいにしててね」と涙目のまま笑ってくれた。
家に戻り、俺はアオイ手作りのリストバンドを手に取ってよく見てみる事にした。
ところどころ歪で、ほつれが見られるが初心者にしてはかなり上出来だった。
「何見てんのー?試作品??」
後ろからひょいっとアオイの作ったリストバンドを取られてしまう。
「ちょ、カズ…それ俺のじゃないから大事にしてくれよ。」
「え、ごめん。確かにちょっと歪でAっぽくないな。」
カズは「ほい。」と言って軽く俺に投げる。
だから大事にしてくれって…。
俺の家は山の中にあり、アオイのいる孤児院があるような街からは車で40分くらいのところにある。
ちなみに、市場が行われる大広場までは孤児院までのちょうど間くらいの場所にあるので、20分くらいで行ける。
「で、話って何?あの孤児院の話?マノンとヒナまで呼ぶなんて珍しいじゃん。」
カズは俺の前に座り何故かニヤついている。
俺の家は祖父母が昔、機織りの作業をするために建てた山奥の家で、敷地も広く設備も良いため、学校で知り合ったカズ、マノン、ヒナと俺で男女2人ずつで住んでいる。
俺は布を織ったり、アクセサリーを作ったり作業をしているが、他の3人は普段、仕事や学校に出かけている。
家賃を払わない代わりに俺の作業の手伝いや、家事を分担してやっているというような生活だ。
「…どうしたらいいか分からなくてさ。」
そう、俺の家で住むかは俺だけで決められる話ではない。
3人にもちゃんと話さなければならない。
「ごめーん。お風呂上がるの遅れたー。」
「課題終わったよ〜。」
「突然悪いな、ありがとう。」
4人揃って一つの机を囲む。
普段からアオイの話はしていたので、みんななんとなく察しはついているようだ。
俺は改めて真剣に話す決意を固めて口を開く。
3人は静かに俺の話を聞いていた。
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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ@うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…!題名に少しつられてのこのこやってきた者です!オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…!ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…! (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白詰草 | 作成日時:2019年4月18日 1時