突然の出来事 ページ6
あまりに突然だった。
俺がアオイを引き取る…?
アオイはなぜだか俺を気に入っているようだが…
「俺で、いいのか…?」
俺が問いかけると、アオイはこくりと頷く。
アオイを引き取っても俺は十分な生活をさせてやれるか分からない。
そもそもなぜ俺なんだという疑問はあるが、これは俺だけで決めていい話ではないことは確かだ。
俺が「メグさんに話してみないと…」と言うと、アオイ小さく「やっぱり…」と言った。
アオイの言葉が気になるが、帰り際にメグさんに相談してみることにした。
「そう…アオイちゃん…やっぱり…」
メグさんに、アオイから引き取ってほしいと言われたことを伝えたが、少し深刻そうな表情で何か考えているようだった。
アオイに何があったのか気になるが俺が知っていい事なのか分からない。
俺はひとまず、メグさんと話し合った。
結果、アオイを引き取るのであれば後日迎えにくること。
俺はもう少し考えることにした。
俺は帰ろうと孤児院を出ると、後ろから腰のあたりをつつかれた。
その感触に反射的に振り返るとアオイが立っていた。
「ん、どうした?なんかあったのか?」
俺はアオイに目線を合わせ問いかける。
アオイは俯き、小さく「あの…」と言ってモジモジしている。
俺が1人で帰ろうとしているから、なぜ引き取って貰えなかったのかが気になるのだろうと思った。
「アオイ…今日はまだ急だから…」
「お話は…廊下で聞いてたよ。やっぱり…私はここから出られないのかな…。」
ここに来て何度か見たアオイの悲しそうな表情。
その表情よりもアオイは今、つらくて今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「お兄さん…これ、私が作ったの。」
アオイは服のポケットから青色のリストバンドを取り出してみせた。
少し歪でデザインもない無地の手作り感のあるリストバンドだった。
「どうかな…」
アオイは何故か今にも泣き出してしまいそうだった。
このリストバンドに何か意味があるのだろうか。
「すごいじゃないか。これ、初めて作ったのか?」
「うん…本見ながら…作ったの…」
初心者にしては上出来だった。
ましてやこんな子供が作ったなんて。
「それ、ダメかな…私…お手伝いできるよ。邪魔にならないようにするから、だから…」
アオイは服の裾をぎゅっと握って震えた声で俺に問いかける。
「アオイは俺の手伝いがしたいのか?」
俺の言葉にアオイは小さな声で答える。
「私はお母さんに会いたい…そのためにはお兄さんの技術がきっと必要なの…」
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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ@うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…!題名に少しつられてのこのこやってきた者です!オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…!ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…! (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白詰草 | 作成日時:2019年4月18日 1時