ハク ページ15
｢アオイも、ハクのことを知ってるのか？｣
俺が聞き返すとアオイは｢うん、有名だと思う。｣と真っ直ぐに俺の方を向いて答えた。
ハクという男。写真ではまだ若い…20代後半くらいだろうと思われる男性が載っているがこれは間違いない。
この男性は、俺の祖父の若い頃の写真だ。
心臓がギュッと押さえつけられたように一瞬苦しくなった。
アオイがなぜ俺に興味を持ったのか、俺の祖父を知っているのか？なぜアオイは布に…機織りに興味を？
｢お、お兄さん…大丈夫？｣
｢えっ、あ、あぁ…大丈夫だ。有名なのかこのハクって人。｣
｢うん。すごく質のいい布を織る人、若いうちから才能のある人なんだっていうお話を聞いた。お兄さんは知らない？｣
｢あぁ…そんなに詳しくは知らなかったよ。名前くらいだ。｣
アオイは｢そっか｣と小さく言って本に目を戻してしまった。
つい誤魔化してしまったが、よかったのだろうか。
｢A〜。元気ねぇな〜？仕事疲れ？休まねぇと体壊すぞ〜？？｣
｢いや、ちょっと色々あってな。｣
俺が就寝準備を済ませて布団の上でぼーっとしていたら、カズがいつも通り陽気に声をかけてきた。
どうやら夕食時から口数がいつもより圧倒的に少なかったのが気になったらしい。カズは普段ヘラヘラしているが、いざと言う時はしっかりと相談にのってくれるので信頼している。
俺はカズに今日の夕方のことを話した。
｢なるほどな。なんかありそうだね、アオイちゃん。｣
｢祖父の布は先代の王女様のドレスにも使われていたし、王女様への興味があるみたいだからそこで知ったのかなと思ってる。｣
｢でもなんか、ドレスとかの本を借りてきたんだろ？俺は王室の人達の服に興味があるんじゃないかなと思うけど。まぁ子供の考えることはよく分からないけどな〜…｣
カズはそう言って布団に横になってしまった。
でも、確かに初めは…俺が広場で布を売り、アクセサリーを作るところをアオイが静かに見ていていたことから始まったのだ。
俺の父親は祖父の機織りを継がずに町工場で働いている。
跡継ぎに困った祖父は、とても質の良い布を織る人で、こだわりも強く指導が厳しかった。そのため弟子は次々にやめていき、気づけば俺だけになっていた。
｢アオイちゃん勉強熱心だし、お前のじいちゃんだってすぐに気づくかもな。｣
｢…そうだな。｣
アオイに話す決心をしなければならないことは十分に分かっていた。
でもなぜアオイが布を調べているのか、俺には分からないままだった。
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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (
レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ＠うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…！題名に少しつられてのこのこやってきた者です！オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…！ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…！ (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして！続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白詰草 | 作成日時：2019年4月18日 1時
