【ヒロアカ】轟兄さん３【男主】 (ページ7)

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１週間経った

そろそろ本格的に迷惑かけてきてる

はぁーとため息をつきながら庭を眺めてみる

大きくて静かな家

『ん？あれ？こっちおいで』

庭の隅からちょこんと顔を出した黒猫を呼ぶとすんなりと俺に寄って体をすり寄せてくる

『ごめんな、俺君のことも忘れちゃったみたいだ』

膝に乗せて背中を撫でる

「兄さん、ちょっと出かけてくるけど一人で大丈夫か？」

『あ、うん。この仔と一緒にいるよ』

「この仔？」

『このネコちゃん、名前何て言うの？』

そう聞いた瞬間

焦凍君は目を見開いて俺の肩を激しく掴み叫ぶ

「その猫！どこにいる！！」

『ぇ、俺の、膝の上にいたけど…逃げたみたい』

「クソっ！！」

どうやら俺の記憶喪失はあの猫が関係しているかもしれないということを聞いた

記憶がなくなる前も黒猫を見た後

あの猫は、俺にしか見えないらしい

『そっか、じゃぁあの猫を捕まえればいいんだね』

「兄さん？」

『大丈夫！俺捕まえて記憶取り戻すよ！！』

俺は猫の逃げていったほうへ走る

＿＿１０年前＿＿＿

「にゃー」

『元気になった？』

ミルクをあげてお風呂に入れたらすっかり元気になった

段ボールに入れられていたからきっと捨て猫

俺はパソコンを開いてチラシを作る

俺が飼ってあげようとは思わなかった

『でも、俺が拾ったんだ責任持って飼い主見つけてやるからな』

その日俺は子猫に小屋を作ってあげ明日のために早めに寝た

『はぁ、はぁ…っ』

言うまでもなく、語ることもなく

父さんが見てるかもしれない、母さんが見てるかもしれない

勝たなきゃ、勝たなきゃ

でも、炎を使って勝って

母さんは喜ぶのか？これが俺のしたいこと？

気付くと俺は全部を燃やしていた

『ただいま…』

「お兄ちゃんっ！今日１位だったね！すごかった！」

『ありがとね焦凍。』

夕飯の前に部屋に戻って電気をつけないで膝を抱える

最悪だった、自分のことしか考えないで

あんなことしてしまうだなんて

「にゃー」

『あぁ…ここにいたの？』

「にゃー」

子猫をかかえると温もりを感じた。あったかかった

懐かしい感じがした

潰れそうな気持ちが表に出てきそうになる

あぁ、こんな気持ち忘れてしまったら

何もかも、忘れたらどんなにいいだろう

その日、猫は消えた

俺の何かを持って行って