【ヒロアカ】轟兄さん３【男主】 (ページ44)

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「兄さ…ん」

もぬけの殻とはこういうことか

もしかしたら帰ってくるかもしれない

兄さんは強いから爆豪を連れてヴィランを倒して帰ってくると思った

だから兄さんの部屋でここ数日寝た。でも起きても隣には誰もいないし、ぬくもりもない

「いない…か」

期待してた

枕を抱きしめてみても布団をかぶってみても何も満たされない

今、何をしてるんだろう

何かされているのか。そう思うといてもたってもいられなくなる

昨日八百万の病室を切島と通り掛った時、ある話を聞いた

「発信機…」

そう、ヴィランの一人に発信機をつけたというもの

そういえば今日は緑谷の見舞いをクラスの奴らで行く日だったか

俺はひとつの決心をして病院に向かった

・

「つまり、その受信ディバイスを作ってもらうと」

「だとしたら」

「オールマイトのおっしゃる通りだ！プロに任せるべき案件だ！俺たちが出ていい舞台ではないんだ！馬鹿者！」

「んなことわかってるよ！」

緑谷の病室に行きクラスの奴らの前で俺と切島のこれからやることについて話した

もちろん誰一人賛成する奴はいなかった

「飯田ちゃんがただしいわ」

「飯田が、みんながただしいよそんなこと、わかってんだよでも！
なぁ緑谷まだ手は届くんだよ！助かるんだよ！」

それから数分に渡り俺らはそれについて話した

誰もがみんな納得していない

「みんな爆豪ちゃんとA先生が攫われてショックなのよ
でも冷静になりましょう。どれほど正当な感情であろうとまた先頭を行うというのなら、ルールを破るというのなら
その行為はヴィランのそれと同じなのよ」

ヴィランと同じ

『お前ら、追ってくるなよ』

最後に聞いた兄さんの言葉

あれは本心だ。だとすれば俺らは行くべきじゃない

それは重々に承知している。でも…

「兄さんは、」

「轟くん？」

「兄さんは追ってくるなって言った。今でも鮮明に思い出せる

兄さんは強いから一人でなんとかするだろう

助けに行くこと自体兄さんは望んでねぇ

でも、俺はこのまま待ってるだけなんてできねぇ」

『もしね。

もし俺が、いや。

もし俺に何かあった時は自分を見ろ

父さんでも母さんでもなく自分の、なりたい自分を

やりたいことをやればいい』

いつの日か兄さんが言った言葉

「俺のしたいことは爆豪を助け出すことだ

そのために俺は行く」