【ヒロアカ】轟兄さん３【男主】 (ページ13)

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“おにいちゃん！！”

“焦凍ー流すよー”

焦凍はただいま父さんの事務所へ職場体験のため、家にはいない

久しぶりの全休に俺は何をしようかなと思いながら部屋を掃除すると一つのメモリが出てきた

俺はそれを再生すべくテレビに繋ぐとなんと１０年前のもの

懐かしいなーなんてそれは焦凍のいない寂しさを埋めてくれた

それは夏休みくらいだろう、流しそうめんならぬ流しそばをやっているところ

“とれた！”

“うまいうまい、食べていいよ”

“おいし～”

いつもと同じそばを少し違った形で美味しそうに食べる焦凍がドアップに映る

あー、これ撮したの俺だな

焦凍が一生懸命箸ですくってお口いっぱいに含む

俺はカメラ片手にそばを流してるんだろう

『めちゃくちゃかわいいな…』

もちろん今の焦凍もかわいいよん

朝起きると俺の布団に入ってる時もあるし

俺の前ではまだまだ甘えん坊だし

でも成長したな。と改めて思う

５歳の頃の映像を見て懐かしいと思うんだから

思い出映像を見終わってテレビを普通のニュース番組に移す

『は…？』

そこには不貞腐れた父さんが写っていた。

それは最近世間を騒がせていた事件の犯人

ヒーロー殺しステインを捕まえたというもの

俺は急いで電話をかける

「…はい、兄さ」

『焦凍！！お前大丈夫なのか？怪我は！？』

「…ごめん心配かけて、本当は電話しようと思ったんだけど」

『そんなことはいい！怪我してない？大丈夫なの？』

「…大丈夫」

少し間が空いた返事はきっと嘘だ

怪我をしたんだろう

そしてすぐに俺に電話をしてこないということは

病院であるかそれとも俺に何か隠したいことがあるということだ

『大丈夫ならそれでいい。何も聞かないよ』

いつもより低い声で返ってくるのはただ、ごめんというものだった

『じゃぁ、切るよ』

「まって…」

『ん？』

「悔しい思い、した…」

いつも聞かない焦凍の小さく細い声

『いいんじゃない、悔しいことなんてヒーローになれば沢山ある。

成長したってことだよお前は…もうこんなに大きくなったんだな』

「兄さん…」

『沢山学んで帰っておいで。もうそろそろ俺焦凍不足で限界だから』

「俺も。兄さんに会いたい」

どんな悔しいことがあったのか俺にはわからないけれど

その悔しさを超えて、焦凍だけじゃない

みんながいろいろなことを思って、感じて

成長していくんだと少し未来が楽しみになった