離れないよ、蛸だから【吉田ヒロフミ】 (ページ20)

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『ヒロくんは私以外の女の子とも交流するべきだよ。』

「してるよ男子校って訳じゃないし」

『そう言う話じゃない。彼女でもなんでも…私以外の存在を作れって言ってんの』

私を閉じ込めている腕は一行に私を離そうとはしない

それでも背後から聞こえてた彼の声は止まって静けさに呑み込まれる

「なんでAさんって…」

わかってる。どうして私は自らを参らせる方に進んでしまうんだろう

ヒロくんが他の女を作って一番苦しい思いをするのは私だと言うことは分かりきっている

一緒にいたい。ずっとそばにいたい。これが本心なのに離れて行けと突き放す

「わかった」

離れていく腕と体

離れていかないでと願った、離れていってと願った

彼の歩く音、消える気配が心に滲みる

『…私ってめんどくさ』

ヒロくんはそれから私の家に居座ることがなくなった。

単独の仕事をこなして家に帰る繰り返し

でも少し大きな仕事になるとバディであるヒロくんと一緒になるわけで

『…』

「蛸」

私いらなかったんじゃ…

２人で任務に向かってもいつもヒロくんが倒しちゃうから私なんて必要ない

ギコチナイ空気の中一言もお互いに言葉を交わさず彼はスタスタとその場を去った

『…』

これが私が望んでたことで、全部自業自得なのにどうしてか今私は彼を尾行している

彼を、尾行、している。

『違う違う、別に気になるわけじゃないし。』

私と居ない時の彼は何をしてるのかなんて、どうやって過ごしてるのかなんてどうでもいことなのに

「お待たせ」

「吉田くん！」

「行こうか」

『……』

尾行した先、制服を身に纏った女が一人