離れないよ、蛸だから【吉田ヒロフミ】 (ページ2)

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頭がくらくらする

目も開けられない

眠い

揺れてると思ったら横にされて体が沈んでいく感覚

「Aさん。水」

聞こえているけれど答えられない

自分の体だけど自分の体じゃない

「弱いくせになんで毎回こんなになるまで飲むの」

また始まった。彼のお説教

ギシッ

ベッドのスプリングが音を鳴らすと自分の上にできる影にゆっくりとボタンが開けられる

「ほらね抵抗できないじゃん。それともする気もない？

あんな低俗な奴らでいいなら。俺でもいいでしょ」

脱がされて顕になった肌がシーツに触れる

このまま寝てしまえるのならどれだけ幸せだろう

『だめ』

少しだけ頑張って彼の体を押す

「なんで」

『ヒロ君は子供だから』

「Aさんだって最近２０になったばっかだろ。大して変わらないと思うけど」

『任務について行かなかったことは謝るから』

「そんなのいい」

この子は意外にも、愛情深いんだ

表情からは想像できないくらい一人のだらしない女に執着してる

顔もいい

デビルハンターとしての素質も十分なのに

『水飲みたい』

「はい」

わざわざペットボトルのキャップを外してくれる男そうそういない。と思う

『ヒロ君そろそろ寝たら？明日学校でしょ』

「誰のせいだと思ってんの」

『自分のせいでしょ？』

そのまま横にさせて頭を撫でる

呆れた顔をしながらゆっくりと目を閉じていく彼を可愛いと思う。