【呪術廻戦】黙ってろモブ３【男主】

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海底からゆっくり、ゆっくり浮上するように意識が戻る









目蓋が開いて焦点が医務室の天井に合った途端にまた視野がぼやけて漏れ出したそれを隠すように目元を隠す

隠したところで止まらなくてしゃくりあがる声が一人、医務室に響いた









目が覚めた瞬間にわかった。失って初めて呪力の重みをしった

自分の価値を、力のない俺の存在意義を責めながら悔しくてがむしゃらに生きた数ヶ月









でも重い呪力は俺の見知っている呪力じゃなくて、体のあちこちを見ても龍の痣はない

それを見て現実を突きつけられた

本当は信じたくなくて、少しの希望を残してここまでやってきた

迦楼羅のようにあいつに自我があったとして、何かをきっかけに拗ねているのではないか

だから出てきてくれなくなったのではないか









だけどあいつは消えた。

出てこなくなったのではない

俺の中から消えたということを、目を覚まして知った









嬉しさも寂しさも、悲しさも辛さも。

我慢してた感情が今になって止まらない

今になってこうして泣くことでしか表せない









『ｯ、ｱ…ｸｯ。…ッ』









ｶﾞﾗっと開いたドアで声を抑えるけれど撫でられた頭にまた声が漏れる







「よく頑張ったね」


『悟、今だけ…いまだけで良いからっ』


「今だけなんて言わなくても、いつでもしてあげるのに」







顔から退けた腕を伸ばすと慣れたように被さって頭を引き寄せる

悟の胸で涙が枯れるまで泣いて、泣いて…

泣き枯れるまで悟は何も言わず、ずっと頭を撫で続けた

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