３２ ページ32
『逸れたね…』
「はぐれたな」
俺の予想より何十倍と人が多く花火大会の会場は大いに賑わっていた
花火を見ること自体は初めてではないけれど家の屋根から普通に見えていたので
その場に行って見るってことは初めてだった
それは焦凍も同じで。というかいつも２人で見ていたから
この群衆の中、クラスメイトとはぐれてしまって花火大会初見の俺らはどうしようもなく迷っていた
「人が多すぎる。合流するにもまず人がいないとこにいかねぇと」
『そうだね』
俺は焦凍の手を握って個性を使い一気に人のいない場所に移動した
そこは花火大会のすぐ近くで階段を２００段くらい上がった小さい社のある神社
『ちょっとだけ、ここで休ませてください』
祭壇に手を合わせて石段に腰掛ける
ここだと花火もよく見えそうだけれど人が全くいない
確かに俺みたいな個性がない限りわざわざここまで来ないだろうなと思いながら手当たり次第電話をかけるがやっぱり人が多くて着信に気づかないのか誰一人出てはくれなかった
『もう少しで花火始まるのに…』
「しょうがねぇ。きっとあいつらもそれぞれ別れてるだろう」
『来年はもっと早く来て場所取りしなきゃね』
「来年、か」
夜ももう暗い
ここには電気ひとつないけれど月夜や街、ずらりと並んだ屋台の明かりで不安になる程暗くはなかった
「なぁA」
『なーに』
「好きだ」
唐突に言われたその言葉
今度は誰かじゃなくて俺に向けられてる
焦凍を欲しいと、誰にも渡したくないと
そう思うけれど。でもこの感情はまだ俺の中ではっきりしなくて
答えがわからない
『わかんないんだ俺は焦凍のこと大事だし
嫉妬も…するけど』
「好きだから嫉妬すんじゃねぇのか」
『ちがっ！あの、えーっと
そのloveとlikeはちがうっつーか
なんていうか』
「でもどっちも好きだろ」
そうだけど、そうじゃねぇだろ
うまく言葉が出ない自分が悔しい
語彙力のかける俺を呪った
『こんなんじゃ…焦凍の気持ち答えられない』
ピューと花火大会の始まり１発目の花火が上がった
もやもやして気まずい雰囲気
明るすぎて近すぎる花火
「俺は、お前とずっと一緒にいてぇ」
『それは、俺だって…』
「それだけじゃダメなのか？」
思ってもみない言葉に俺は横を見る
花火色に染まる焦凍の顔が俺を見つめて
俺は目線をそらすこともできなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1037人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メビ(プロフ) - たつめこさん» ┌(┌＾o＾)┐ﾎﾓｫは元々"同じ性別の状態"という意味ですが現在は"同性愛者の男性"という意味で使うらしいですよ！外からすみません！ (2020年4月6日 7時) (
レス) id: ee2ddb04ba (このIDを非表示/違反報告)
たつめこ - 思ったんですけど、(^0^)ﾎﾓｫ はホモを求めている腐女子や腐男子であって、ホモやゲイとは違うのでは.....?細かいこと言ってしまってすいません。更新頑張ってください。 (2018年10月6日 2時) (レス) id: b871580e39 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - ↓どういう意味ではなく、どういう状態です。語彙力なくてすみません (2018年9月23日 13時) (レス) id: 96dfa0018b (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - 番外編の最後の「俺を座っている焦凍の太もも‥」の部分がよく分からなかったのですがどう意味でしょうか？？(>_<)理解力なくてすみません (2018年9月23日 13時) (レス) id: 96dfa0018b (このIDを非表示/違反報告)
朧流水斬(プロフ) - R18の番外編同じく希望です！！めっっっちゃ読みたいです！ (2018年9月23日 9時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：要
| 作成日時：2018年9月2日 4時
