【QK】十人十色【短編集】 (ページ16)

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駐車場 sgi ページ16

sgiside

あんまり連絡取り合うの得意じゃないって言ってたけどさ、さすがに3日未読無視って酷いんじゃないの～って考えてた時にAからのメッセージ

『少し会いたい』

なんて言われりゃ思わず飛び出しますよ、時間はもう午後8時。

Aからの連絡なんて久しぶりだな

声聞きたいな。高速道路だし、真っ直ぐだし、

かけていいかな、電話。

独特の発信音を緊張しながら聞いていると

電話が繋がってもしもしって声をかけた。

しばらく返事はなくどうしたっ？て声をかけたら

震えた声で

『私、好きな人ができたの』

は？え、まって、どゆこと？てかなんで俺泣いてんの？

あーやばい前が滲んでいく。

言い返す言葉ももうなんも見つかんない。

これからどうすっかな、このまま高速走らせてどっか遠くにでも行っちゃおうか。

明日も大学だから無理だけどさ。

ずっと、返事が遅いのは忙しいからだって言い聞かせて

それに後悔してそんで少しきみに腹が立つ。

俺の中の俺が

もっと思ってること口に出せばよかったのに

って言ってくるけどそんなん無理でしょ。

薄々わかってたんですよ、君の心が離れて言ってることに。

分かってるのに、会いたいなんて言えるわけないでしょ。

俺だってそんなに強くないの。

あー～もうどうにかなってしまいそう。つかどうにでもなれよ。

そうやってカッコつけたけど口から出た言葉は

お願いだからどこにも行かないで。

なんてかっこ悪いセリフだ。しかも180弱ある男が泣きながら言うんだから君はもうドン引きでしょ。

でもそれくらい俺にとって君が全てだったんだよ。

2人ですごした2人だけの時間だと思ってたものが今、君が新しい人に出会うための時間だったことに気づいた。

君が来てって言った駐車場につく。

君の姿はもうない。

この駐車場で喧嘩もしたし抱き合ったりしたのに。

勝手にずっと一緒っておもってた。

昨日あったことをなんでもない日常を笑いながら話したかった。

ああ、目の前が白く染っていく。

しばらく、立ち直れそうにないかも。俺。