anytime （渡辺） (ページ11)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:44,174 hit

11 ページ11

.

腹筋に届く前に、私の伸ばした手をなべが掴んだ。

「お前さ、まじで…… 」

『ん？なに？』

「こういうこと他の男にはすんなよ」

『え？どういうこと？』

「俺着替えて来るわ、お前も帰る準備して」

私の手を離したなべは背を向けて寝室に入っていった。

,

.

「そんなのAのことが好きだからに決まってるでしょー！」

『まってそれはない、絶対ない』

ミキとのランチタイム。

話題はこの前のなべのあの発言。

“ こういうこと他の男にはすんなよ ”

「断言はできないでしょ」

『いや、私たち10年以上の付き合いだよ？』

「年数なんて関係ないでしょ？正直、Aはさ、渡辺にそういう気持ち持ったことないの？」

ミキはサンドイッチを頬張りながら私に問いかける。

『ない……と思う』

「絶対嘘じゃん」

『だ、大学の時、ほんの一瞬だけなら』

3年付き合った彼氏に振られた時、

あの時だけは本気でなべが慰めてくれたっけ。

その時、なべが彼氏だったらって

ほんの一瞬だけ考えたけどそれも一時的なもので

結局、友達に落ち着いた。

「じゃあさ、酔っ払ってなべとそういう関係になったことは？」

『それは絶対ないって言い切れる、なべも私に手を出すほど女に困ってないと思うし、てかこの質問関係ある？』

「いや今のは単純に私が聞きたかっただけ」

『だと思った』

.