鈴の音色 2.5【HQ 西谷夕】 (ページ2)

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第94話ページ2

Aside

西「夜月さん！！」

冴子姉さんが待っているからと体育館を出て走り出した時、聞き慣れた声で呼び止められた。
振り向くと、小柄な彼が立っていた。
何も言わないことを不思議に思い、私から声を掛けた。

『なに？』

西「ずっと、お礼が言いたかった。」

もうお礼言われたのに…律儀な人だなと思った。

西「勉強、教えてくれありがとう！こうやって東京に来られたのも夜月さんのお陰だ。きっとあの勉強会がなかったら、赤点取ってた…」

いつもの笑顔ではなく真面目な、真っ直ぐな瞳を向けてお礼を言ってきた。
いつもの私なら「教えただけ」、「別に…」と言っていただろうな。

『…そう。』

赤点を免れて東京に行けると報告されたときも、何事にも真っ直ぐな彼らを見ていると、不思議と私まで…

『みんなの力になれたなら、よかった。』

嬉しくなる。

きっと今までの中で一番、顔が緩んだ気がした。
あなたなら…