第79話 ページ36
烏養side
心配事の種である期末テストの赤点取りそうな四人組。噂には聞いていたが田中や西谷たちが騒いでいた噂の超絶美人。
確かに、これは誰もが振り向くほどの美人だった。
鳥「手を貸しただけ、か。」
『はい。』
淡々と喋るその表情はまさに無。
過去の出来事がそうさせているのか。
鳥「だが実際あいつらにとっては願ってもねぇ事だった。その強い思いを感じた夜月なら、どれほど有り難かったか分かるだろ？」
表情はないが人の顔を伺い、何を考えているのか心を読み取るのに長けているその力。
鳥「……この町に戻ってきたってことは…」
『お察しの通りですよ。』
やっぱりか。かといって俺もそこまで聞いたわけではない。詳しくは教えてくれなかったからな。
『必ず……』
夜月の目が光り、殺気を感じた。
漫画やアニメの世界でよくある殺気を感じるシーン。本当に、そのまんまだ。
鳥「…あいつらは知らねぇのか。」
『話していませんよ。別に話しても構いませんが…』
なんとなく、なんとなくだ。無表情だった夜月の顔が、少し哀しげに見えた。
『私の事を知って、今までと同じ様に接することができますかね。』
夜月なりになるべく関わらないようにしてきたんだろう。情が移れば移る程、後戻りができなくなるからな。
鳥「ま、あいつらなら変わらねぇだろうよ。そりゃ最初は気まずいかもしれないが…」
『……それに…』
鳥「それに？」
『深く関わり知ったことで、彼らもタダでは済まないと思いますが…』
鳥「……どういうことだ…？」
『…………』
まさかとは思う。確信はない。
けど夜月の目が訴えるその"何か"が…
俺の発したい言葉を遮った。
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作者名：極東華梛魏 | 作成日時：2021年8月2日 20時
