第73話 ページ30
西谷side
夜月さんと吉村が帰った後も俺は頭が追いついていなかった。
お昼に顔が近づいて、あの懐かしい香りを感じて…勉強して……
『ひとまず今日で終わりね。』
終わり…。もしこのまま教えてもらうことも、話すことも無くなったら…
縁「西谷。」
田「ノヤっさん、さっきからずっとああなんだよ。」
西「龍…」
田「お?」
西「もしこのまま夜月さんと話すこともなくテストが終わったら、どうする?」
『私が関わる期限はテストが終わるまで。』
田「どうするったって…」
態度や口にしない龍だけど、同じ事を考えていたみたいだ。
縁「別に同じクラスで同じ学年なんだし、関わりが無くなるわけじゃないだろ?」
体育祭も文化祭もあるし、話さなくなるわけじゃないのは分かっている。
でも何か違う。あの雰囲気…
縁「深く考えすぎだ。今は赤点取らないようにするのが最善だろ?教えてもらったこと、無駄にする気か?」
西「…そう、だよな。力の言う通りだな。」
田「ノヤっさん!テストが終わったらそん時また考えりゃいいさ!」
西「うっしゃ!やってやるぜ!!」
一生話せなくなるとか、聞けなくなるとかそんなんじゃねぇ。
チャンスはあるんだ。
日曜日は結局集まらずに各々で勉強することになった。
自分でも驚くぐらい、俺はちゃんと机に向かっていた。
そして。
期末テスト当日。
先「はい、始め。」
その号令と同時に紙をめくる音が教室に響いた。
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作者名:極東華梛魏 | 作成日時:2021年8月2日 20時