優等生は恋を知ったようで。【朝比奈まふゆ】 (ページ22)

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第十六話『屋上』ページ22

、
ｶﾞﾁｬ

A『奏太！！』

屋上に行くと

奏太『あ、A。』

奏太の姿が。

A『どうしたの？急に呼び出して。』

奏太『...最後にAに会いたくて。』

...最後？

A『さ、最後ってどう言うこと！？』

奏太『...僕、この世から消えようと思う。』

A『そ、それって...』

俺が話し終わる前に奏太は柵の反対側に立った

A『危ないよ！』

奏太『最後にAに話しとかないことがある。』

A『そんなことより』
奏太『話を聞いて。』

A『...わかった。』

奏太『僕...虐められてた。』

A『..え？』

虐められてた？

A『どうして』

奏太『..A、人気者でしょ？そんなAと僕が仲良いから。「Aに地味なお前が近づくな」って。』

A『え...』

確かに俺はいつも誰かに囲まれてた。

でも
A『どうして、相談してくれなかったの？』

奏太『...相談、したかったよ。でも、Aに近付くと暴力がひどくなるから。』

奏太は『僕って、弱いね』と困ったように笑う

よくよく見れば奏太の制服の間からは痛々しい傷が覗いている

A『なんで気付かなかったんだろ。親友なのに。ごめん』

奏太『ううん、Aは悪くないよ。僕が悪いから。』

奏太はそこまで言うと『じゃあね。』と言って

屋上から飛び降りた

A『奏太ｯｯ！！！！！！』

慌ててかけよって下を見ると、倒れた奏太と血だまり。

...俺の、せいだ。

俺が虐めに気づけなかったから。

俺が奏太に関わったから。

俺が奏太に近付いたから、虐めがひどくなった。

・・・・そもそも俺が、存在、していなければ。

俺はその日、親友を失った。