＊トリップをした少女＊【テニプリ】part5

195話*棄権は認めない* ページ5

大石も再び立ち上がる。

無理しちゃって…。

痛い癖に、そんなに無理して何になるんだって話なんだよ。


それでも僕は手を抜くという事を知らない。

A「はっ!」

僕は勢いを付けてサーブを打った。

速い?

いや、速くない。


ただ…

重いだけ。


大石「くっ…!」

大石は何とかクロスに打ち返す。

さぁ、少しだけ、安心感が生まれたかな?

もう追いつけないって?


…残念。

これ、追いつけるよ。


僕はボールに追いつくとそのままボールを返す。

そのまま。

進路も何も変更せずに、そのまま。

つまり…


大石「!?」

大石の目がカッと開かれる瞬間に、そのボールは大石の懐…肺らへんに突き刺さる。


大石「がはっ!」

大石の口から血混じりの唾液が吐き出された。

さっきよりも血液の量が多い。

どこか傷付けたか…?

いや、でも口から血が出るって事は口内が傷ついたって事だよな…?

肺が傷ついたら息出来なくなっても困るから肺は傷付いてない筈…。

それに今の大石の状態から見て肺とか心臓とかの重要器官は大丈夫そうだしな。


…舌か頬の肉、噛んだな。


それかボールがいけない所に突き刺さったか。


A「痛い?」

僕は半分微笑みながらそう大石に尋ねる。

大石「大、丈…夫」

大石は息を切らし、ふらふらとしながらも再び立ち上がった。

…しぶとい。


でもこれぐらいなら重要器官は傷ついてない。

良かった。



…試合を続行出来る。




僕の不敵な笑みに多分大石は気付いているだろう。

そして思っているはずだ。

"悪魔のようだ"と。



はは、

キミ達が僕にボールをぶつけた時、カッターを向けた時の僕の恐怖なんて、

こんなもんに比べると月と鼈なのにね…。



…僕は何を思っているんだろう。

僕に恐怖なんて…

恐怖なんて感情、有る筈ないのに。



大石「っ…」

僕は何もしていないのに大石が顔を歪める。

多分さっきの痛みで動くのも痛いんだろう。


だけどね、


A「 いくら痛くても、ちゃんと試合は最後までやってよ。 」


いくら痛くても…



A「棄権なんて、認めないから」


僕の…いや、大石から見て

"悪魔"から発せられた"悪魔"の言葉はコート中に響き渡り、



そして間もなく コートに吸い込まれるように消えてゆく。




―――――
☆生存者確認←☆
手塚*大石*菊丸*乾*越前
向日*鳳*芥川
柳生*丸井*切原

☆Aちゃんの味方(?)☆
芥川
柳生、丸井、切原
(菊丸)
―――――

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