＊トリップをした少女＊【テニプリ】part5

209話*踊れ*※におくんネタじゃないです ページ19

乾「しかし…その様子だと右手の場合のデータは完全に取れたようだな」

乾がそう言ってニヤッと微笑む。

僕からデータを取れて満足しているのだろう。

不二のようにポーカーフェイス出来るようになればいいけど残念ながら僕はそこまで完璧じゃない。

…不二は倒したけど。


A「でもそのデータは通用しないよね」

僕も負けずに微笑む。


だって僕はデータを取られたからって負けるわけない。

いや、負けるわけにはいかない。


プライドが許さない。


それと、負けたくない。




乾「左手のデータも取らせてもらう」

A「それは不可能だよ」

僕は即答した。

左手には取れるデータが無い。


最高速度?

僕に最高なんてない。

全力でやって、最高を上回る。


癖?

そんな癖とっくの昔に無くしたよ。


苦手?

そんなものも訓練で皆無だ。



僕のテニスからデータが取れるとすれば、


"Aの左手には死角はない"


それだけだろう。




ただ、


僕は天才じゃないから癖や苦手を無くすのに時間がかかってた所が惜しいかな。



…僕に、一体癖や苦手を無くす時間がどこにあったんだろう。

あちら…ここの世界に来る前はテニス出来る時間なんてほとんどなかったのに…

その時にはもう、特訓で無くせてた…?


分からない。


どうして


どうして僕は癖や苦手が無いのだろう。


時間など無かったのに。


分からない。




乾「右手のデータはほぼ完ぺきな筈だ、となると左手でも多少は影響される部分が…」


乾のブツブツと言った声で現実に戻された。


いけない、今は試合中なのに。


A「考えないでさ、少しは体でテニスを覚えなよ」

僕は乾の身体に軽くボールをぶつけた。

次は乾のサーブだからボールを渡しただけなのだが。

僕がボールを投げたのに気付かない程考え込んでいたのか。


A「データ無駄になってまだデータでやる気？アホみたい」

僕は乾を鼻で笑うと来るサーブに向けて打ち返す態勢を取った。



乾のサーブが飛んで来る。

A「ほらね、データでいつも打ってるからデータが無い時に明確な狙いが定まらない」

僕は勝ち誇ったように微笑むと、



乾のコートにボールを突き刺す。




いとも簡単な事だ。



造作もない事。



A「4-6」


さぁ、そろそろ


反撃を


始めましょうか?









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