四十 ページ39
.
「すげぇな、雄也」
居づらくなくなった作造が、足を踏み鳴らして出ていく。
まぁ、俺が居なくなったら戻ってくるだろうけど。
「そうですか？」
どんぐりみたいな両眼が忙しなく瞬きを繰返し、次には音がするくらい勢い良く肩を叩かれた。
痛いよ大さん。
「あいつ結構威張り散らかしてるから、たまにはいい薬だぜ！」
そうなのか。俺は最近母屋での仕事が多くて、あまり関わってなかったから。
「作造ってさ、年は渉さんらとあんま変わんねぇんだよ」
ふぅん…。穏やかな渉さんと比べちゃ、いけない気もする。
「俺のが奉公に来たのが先だから呼び捨てしてるけどな！」
「そうなんだ」
ここ威張るとこだっけ？
「あいつ、結構小狡いんだぜ」
声を落とした大さんにつられ、顔を近付ける。
「釣り銭をちょろまかそうとして、帳場をやらせて貰えなくなったりな」
俺がここに来る前の話だそうだ。
「よく暇を言われませんでしたね」
「そこが旦那様の太っ腹な所だけどよ。他のとこなら一発クビだろ？」
「てすね」
盗みなんてやらかしたら、その場で首を言い渡される。着のみ着のまま放り出されることだって珍しくない。
それどころか警察沙汰にだってなる。
「ほんとなら今頃小番頭くらいにはなってたんだから、まぁ自業自得だけどな」
そうか…。
旦那様は…いや、つくづくここの方達は皆お人好しだ。
(待てよ、逆かな)
他に出して、捕まらないよう監視も兼ねてここに置いてるのかも。
…どっちにしても人好しに違いないか。
考え込んでぼんやりしていた俺を、大さんがそのくりんとした目で観察していたなんて。
そんなの全く思っていなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 526人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
