十一 ページ11
雄也.
「雄也」
水汲みを終えたところで声が掛かった。
定治さんだ。
「光先生がお呼びだよ。ここはもういいから、そのままお上がり」
「はい。それじゃ」
お言葉に甘え、待っていると言われた診察室に新しい茶器を持ち足を向けた。
「光先生、」
「どうぞ。悪かったね、仕事の途中」
「いえ、今日はもう終わらせていいと言われましたので」
鉄瓶から、熱い湯を急須に注ぐ。二つ持っていくよう言われて、伏せてあった湯呑みを一つだけ表に返したら、
「二人分淹れておくれ」
「はい」
他にどなたかおいでになるのだろうか。
差し出した湯飲み茶碗を、一つは光さんの前へ、一つを向かい側の席の前に置く。
「それは雄也の分。そこ、座って」
椅子を指差され驚いた。
「とんでもない、ぉれ、いえ、私はここで」
敷物からも外れた畳の上に正座すれば、光さんは目を細め破顔する。
「律儀だね雄也。宏太が慧を任せるわけだ」
え？それはどういう…。
「いいから座って。そこじゃ遠いよ」
問答無用とばかりに押し切られ、初めて椅子に腰を下ろした。
尻がむずむずして落ち着かねぇ…。
「呼んだのはね、話しておこうと思ったからなんだよ」
ゆっくりと注意深く湯呑みに口を付けて、光さんは俺を見てくる。
仕立ての良い、縦縞模様の着物は彼に良く似合っていて、丸眼鏡でも掛けていたらお医者様には見えない風情だ。
そして切り出された言葉を、俺は予感していた気がする。
「慧のこと…なんだけどね」
「はい」
無意識に居ずまいを正したら、小さく
「話すことは宏太からも許しを得てるから、心配しなくていいよ」
「はい」
宏太さんからの許可…と、いうことは、これから聞く内容は恐らく何かの核心か。
「宏太がこんな時期に店を空ける訳は聞いてるかい？」
「はい。仕入れの為と伺っております」
.
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
