八十五 ページ38
光.
「うーん…」
何時ものように慧と実家で。
声を出すための訓練を終えた後、裕翔の運んできた茶で一服していたら、やおら差し出された紙束に目を丸くした。
『読んで』と言われるままに目を通し、冒頭に戻る。
「うーん…ねぇ慧、本気？」
『ん』
言葉短く頷く姿も力が漲ってる。本気なのねそうなのね…。
かい摘まむと、こうなる。
『
側にいて欲しいし離したくない』
(これはうん…俺にも覚えがあるな)
『振り向かせるにはどうしたらいいか？』
(ここなぁ…)
俺と宏太の場合…立場的には同等だったから、その点の苦労はなかった。
この二人はそもそも、雄也の使用人意識を変えることから始めなきゃなんない。
(振り向かせるか…既に振り向きっぱなしだと思うけどねぇ)
雄也にしてみれば、
(…惚れちまえばそんなことと思うのは、俺もこちら側だからかな)
小耳に挟む程度の世間話でも、使用人と何の弊害なく交際…てのは聞かない。この家は例外の宝庫だけど、長年の常識を覆すのは大変だよな。
(特に
「ん？」
手が止まっていた俺に、ずいっと差し出される一枚。
『わざとお風呂も一緒にしたのに、おれを見てくれないのっ』
ぉおう。
『なぁに？』
「ぃや何でもない」
雄也…不憫っ…「っ…くっ…」
『ひかぁ？どうしたの、ねぇ』
「ぃ、いや…こほんっ」
腹痛ぇええ！
手に取るように判る雄也の苦悩っぷりに、爆笑を必死に押さえた。腹筋鍛えられるっ…！
無防備ってのはほんと、
まぁ
(ふむ…)
「なぁ慧？…まだ怖いかい？」
さらりと聞いてみれば、それまで寛いでいた空気が僅かな緊張を孕む。
何と言おうか暫く逡巡し、観念して首肯する慧に、「そっか」とだけ返した。
『でも雄也は怖くないの！』
「そう？」
『怖くないの。安心、するの』
考えては筆を置き、取っては置き。
そうした末に書き付けられた墨の文字。
水分過多になってゆく両目に、小さく溜め息を溢した。
「それをまんま、雄也に言ってごらん」
『ひか？』
「下手な小細工は必要ないよ」
寧ろあの気が利きすぎる朴念仁には、ぶつけるくらいで丁度いい。
.
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夏夢(プロフ) - ましろさん» はぃい(^^;元気な爺様ですわwさーて坊っちゃんが先か、紫さんが先か。次章で何とかなればいいんですけども(^^;移行先でもまた遊んでくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 20時) (
レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - たくさん更新〜♪ ご・隠・居・さ・まったらぁ(≧∀≦) どんだけ浮かれてるんですか(もっとやってよくってよ) 坊っちゃんそろそろ限界ですかね？ 使用人お三方、良い味出してる〜！続き楽しみです(^-^) (2021年6月13日 12時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» スキップ、って素直に書けたら楽なんですけどねぇ(日本語縛りの壁w)ひか先生も通ってきた道なんで、慧ちゃんの気持ちがよくわかるのかもw次章もぜひ遊びに来てくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 8時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - きたきたきたー！更新ーー！！やはり、そうだったのか！ひか先生さすがだわー。御隠居は絶対スキップしながら言いふらしてんだろーなー。女三人の会話も…いやぁ、色々気になるわー。移行先、どんなことになってるかなぁ。楽しみすぎる！ (2021年6月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 大ちゃん益々隠密めいてきたですwwwそんでねみるさま、そこはほら、これからに繋がるのよぉおお( 〃▽〃)気合い入れて頑張るぞっ( ≧∀≦) (2021年5月24日 19時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2019年8月29日 8時
