七十六 ページ29
雄也.
「慧さん…きれいにしましょうね」
湯を移した桶に、手拭いを突っ込み緩めに絞る。
「これ…脱ぎましょう」
ほぼ纏わりついているだけの夜着に手を掛けた途端、彼の全身が弾かれたように跳ね上がった。
『ぃやっ！』
「慧さんっ？！」
『ゃ、ぃやだっ、いやだぁっ！』
「慧さ、…慧っ」
狂ったように暴れだすのを宥めようとしても、その瞳は誰も映していない。
「慧、けいっ、」
『ゃあああっ！』
何処からと思う程の力で抵抗する彼を、本気で押さえに掛かる。
考える暇はなかった。強引に唇を合わせれば見開かれる瞳、全ての動きが止まったがそれも一瞬。
「
ガブリ！と噛み付かれ思わず怯んだ隙、抜け出し戸口へ逃げようとする彼を背後から捕まえた。
『ぃやだっ、ぃゃあああ！』
「慧っ！」
『っ？！』
錯乱し振り回す細腕をぐい！と掴み、引き寄せて正面から抱き竦めた。暴れるのを封じ、耳元でそっと名を呼ぶ。
「慧…いい子落ち着いて…けい…」
どのくらいそうしていただろうか。
叩いたり撫でたり、宥めてあやすを繰り返す。抱き締める力を緩める頃に漸く、声無き慟哭で強張った背中から、少しずつ力が抜けきてた。
「慧……？」
さっきまでと打って代わり、茫然自失となった彼にそっと問う。
「俺が判る？けい…」
抵抗はもうなくなっている。
ゆっくり密着を解くと、ぽっかりと何かが抜けたような表情のまま、ゆるゆると俺に焦点が合ってくる。
『ゅ…』
「そう、ゆうや」
『…ゃ…』
「ゆ、う、や」
『ゅ…ゃ…』
「ゆうや…だよ…けい…？」
鸚鵡返しの瞳を覗き込んで、優しく繰り返していく。
『ゅぅゃ…ゅ…ぅ、ゃ…』
「そうだよ…けい…」
そうっとそうっと…宝物を抱くように抱き締めれば、背におずおずと腕が添う。
やがて大きくしゃくり上げ、掴む力が強くなる。ようやっと泣き出した彼を、俺の腕でしっかり包み込んだ。
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夏夢(プロフ) - ましろさん» はぃい(^^;元気な爺様ですわwさーて坊っちゃんが先か、紫さんが先か。次章で何とかなればいいんですけども(^^;移行先でもまた遊んでくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 20時) (
レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - たくさん更新〜♪ ご・隠・居・さ・まったらぁ(≧∀≦) どんだけ浮かれてるんですか(もっとやってよくってよ) 坊っちゃんそろそろ限界ですかね？ 使用人お三方、良い味出してる〜！続き楽しみです(^-^) (2021年6月13日 12時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» スキップ、って素直に書けたら楽なんですけどねぇ(日本語縛りの壁w)ひか先生も通ってきた道なんで、慧ちゃんの気持ちがよくわかるのかもw次章もぜひ遊びに来てくださいね〜(*^^*) (2021年6月13日 8時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - きたきたきたー！更新ーー！！やはり、そうだったのか！ひか先生さすがだわー。御隠居は絶対スキップしながら言いふらしてんだろーなー。女三人の会話も…いやぁ、色々気になるわー。移行先、どんなことになってるかなぁ。楽しみすぎる！ (2021年6月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 大ちゃん益々隠密めいてきたですwwwそんでねみるさま、そこはほら、これからに繋がるのよぉおお( 〃▽〃)気合い入れて頑張るぞっ( ≧∀≦) (2021年5月24日 19時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2019年8月29日 8時
