小さな神威くんの飼育係

新章 第19話 『憧れと恋心は紙一重』 ページ34

あの後、今にもブチキレそうな神威を
高杉晋助が気を利かせて連れていき、
そのままあたしは
金髪お姉さん、また子と一緒に部屋に帰った



でも、



姿、形、低い声、全てが似ている
私が尊敬するあの人に。




でも彼は私の知っている恭弥さんじゃないなんて。






『っーはぁぁぁぁ.....』





「まーだ落ち込んでるんスかァ？
いい加減めんどくさいッスよA」




とあたしの隣で枝毛をチェックするまた子




『だって、本当に全部似てるんだぞ！！
似てないといえば身長がちょっと低いぐらい！
そして片目に包帯巻いてない！！』





「それ晋助様に聞かれたらぶっ殺されるっスよ」





とまたぐでぇと机に突っ伏す私。





『高杉晋助、かァ...、やっぱり恭弥さん
にしか見えないし、...学生の頃の
青春していた心が蘇りそうだよおお』





と机をバンバン叩く






「A、アンタ晋助様似のその
男好きだったんスか？」





とまた子に聞かれうん、と小さく頷いた






「なら俺の女になってみるか？」





『そりゃあもうぜひ...』






ん？！！！！






と振り向いた時、そこに入るはずのない
高杉晋助の姿があった







『聞いてたの?!』







と顔を青くさせると同時に
かむいのことを思い出す





『ちょっと待って！神威は?!』






と物凄い勢いで辺りを見回すが
彼の姿はどこにもない





「さあな、」






そんな事より、
とあたしに近づいてくる高杉晋助はニヒルに笑い






「俺の女になるか？」






ともう一度言ってくるので
また子と共に後ろにぶっ倒れた私達だった








ー
ーー





〜視点。







フツフツとこみ上げる怒りをどうしようか
考えていると、高杉晋助はいきなり刀を抜いてきた






「ふーん
そんなにAの事を庇いたいみたいだね」





「フン、こうでもしねェとあの嬢ちゃんに
襲いかかりそうだからな」






と番傘と刀がぶつかった。

ー
ーー




闘い終わり、いつも通り機嫌が治る
そろそろ頃合か、とシンスケとその場で別れ
向かった先はもちろんAの部屋






ついて早々聞こえてきたのは
あいつと鬼兵隊の女の声






「A、アンタ晋助様似のその
男好きだったんスか？」





との質問に何故か息が詰まる






そしてその数秒後







「うん」







...







何故か胸奥がざわつき苦しくなる
そのまま部屋には入らず踵を返した

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