せめて今日だけは消えないで3 ~fin~ 【ARS】 (ページ15)

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和side

子「あ、おうまさん！」

雨の中ひたすらに近所を走っていると小さな公園を見つけた。

それまでどこにも反応を示さなかったのに、馬の形の遊具があるその公園を見つけた途端、急に機嫌が良くなった。

子「おうまさん！おうまさん！」

よく来ている公園なのだろうか。

もう一度近くを探してみようと思った、その時、

？「そらー！そらー！」

傘を持った女性がこちらに走ってきた。

子「ままぁー！」

母「そら！よかった…」

ぎゅっと抱き合う2人。

この男の子は、そらくんという名前らしい。

なんとか母親を見つけられたみたいで良かった。

母「あの…あなたがこの子をここに連れてきて下さったのですか？」

和「あ、はい、そらくん少し濡れちゃいましたけど」

母「そんな、とんでもないです。見つけてくださってありがとうございました」

腰が折れそうなほど深く腰を折って感謝を述べられる。

和「いえいえ、」

母「あの、なにかお礼でも」

和「すみません、この後予定がありまして…」

母「そうですか…」

まだバレてないみたいだけど芸能人と気づかれたらちょっと手間だ。ごめんなさい、そらくんのお母さん。

和「はい、お気持ちだけ頂戴します」

母「本当にありがとうございました」

子「おにーちゃん、ありがとう！」

親子はバイバイと手を振って帰って行った。

・

和「くしゅんっ、あーさむっ」

親子が見えなくなって1人になると、気が抜けたのか思い出したかのように寒さが襲ってきた。

俺も早く帰ろ、と思ったんだけど…

ここがどこかわからない。

もうちょっと道を把握してこれば良かったけど時すでに遅し。

しょうがないから公園にある、大きな木の下にあるベンチで雨が止むのを待つことに。