相席ダーリン〈赤〉 (ページ1)

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「夜なに食べる？」

程よく日も落ちて来て

あちこちに食欲そそるいい匂いが
街中に充満しはじめた午後7時。

ある程度の買い物もして
ふらふらと歩いていれば、

隣を歩く夕香が目を輝かせながらそう言った。

中学から高校まで一緒だったいわば親友、
お互い進路は違うくて今は別々な訳だけど

今も変わらず夕香の考えてることは大体分かったりして。

まぁ、直訳すればお腹が減ってるみたいだ、(笑)

「ん～、そうやなぁ。
全然なんでもいける口やけど…」

「私も私も、」

どうしようか、なんて言いながら

街の看板をなんとなく見ながら歩いて

またどうしよっか、と話していれば

「お姉ちゃん、うちの店で飲んで行きいや！」

なんて思わず足を止めてしまうような
大きな声と共に1枚のチラシが私たちを引き止めた。

そのチラシを見せながらにかっと笑うおじさんは
私たちを交互に見てどう？、と勧誘してくる。

「相席屋言うてな、男女が一緒に呑むんやけどお姉ちゃんらは無料やねん。」

「え？無料？」

おじさんの勢いに圧倒されている私たちに
すかさず店の説明をしてくれるおじさん。

最初は2人して圧倒されてた訳だけど、

"無料"という言葉に夕香はまんまと食いついて

さっき以上に目を輝かせていた。

相席・・・かぁ。