紅い噛み痕をつけて【AtR】

＊ ページ37

*



学校に着くと、



「A、そのリップ可愛いな！！」



なんて褒めてくれるのは
女子じゃない。



普通こういうことを友達同士で言い合ってる気はするんだけど
私にそう言ったのは坂田だ。



「…………ありがとう……」





真冬が褒めてくれないこともあり、
そうやって言われると嬉しくなってしまう。




坂田はとりあえず、
この間自販機で会ったことがきっかけでよく話すようになったが


人懐っこくて
よく話しかけてくれる
"男の子"だ





「昨日もつけてたけどね」



なんて言うと



「昨日はAのこと見かけへんかったもん」




なんてニコニコしてる




「坂田は女の子に好かれるだろうね」



なんて思わずクスッと笑うと



「え〜、そうかな〜？？」



なんて照れ始めた




*

「幼馴染と今日も一緒に来たん？」



なんて唐突に聞かれて頷くと
羨ましいだなんて言ってくる



「幼馴染なんて、あんまり良くないよ…」


なんて言うと


「だって、ずっと前からAのこと知ってるんやろ〜いいな〜」




なんて、私の気も知らないんだろうな




「俺も幼馴染を彼女にしたい人生やった……」



なんてぽつりと言われるから





「…そうなれたらよかったんだけどね」





と思わず返した。





すると、ツンツンと肩を指で突かれて
横を見ると真冬がいた



「真冬っ……」




「A…今日、一緒に帰れない…ごめんね！」



「そ、そっか……わかった！」





いつも家が近いから、一緒に帰ってた



久しぶりに君と帰らないなんて
なんだか、少し寂しいや。そう思いながら
真冬が教室を出て行く後ろ姿を見つめていると




「へぇ…じゃあさ、俺と一緒に帰らん？」




「えっ…」






その言葉は今の私には
甘いお誘いで



「う、うん」



「まじ？？！！嬉しい！」





坂田の嬉しそうな顔を見たら
真冬と帰れないことも
忘れてしまえるだなんて思ったんだ。

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