４０億の時の針

時・33 ページ35

● 渉・side ●

熱で休んでいた…



でも、誰かに『 迷惑 』と言われ 出た熱って… どういうことだ？



人当たりの良い彼女… 迷惑と言われるなんて 変だ…



「俺が思うに… 」


「思うに？」



…



「失恋じゃないかって… 」


「「失恋！？」」




失恋！？




ガタッ！！




「失恋だって！？」


「なっ！？だ、誰！？」



あ…



「す、すみません… でも、今の話 本当？」


「… 誰っすか？」



若い男が俺を不思議そうに見つめた。



「よこーさん、心当たりでも？」



… ある…



もし そうなら…



『 迷惑 』と言った男は…



「失礼だけど、君とAちゃんとは どういう関係？」


「は？なんでそんなこと… 」



推測だが…



おそらく、一緒にいた この若い男を見て 勘違いしたんだろう…



自分の気持ちに気づいてないから…



「よこーさん、コイツは… 」




…





…





人のことは見えてるくせに 自分のことになると 本当に疎い。



未だ、気づいてない… その証拠に…



「今日のガヤさんキレッキレで怖くね？」


「俺、振り間違えて めちゃくちゃ怒られた… 」



ニカと健永が恐る恐る奴を見ていた。



「何か あったか？」



キタミツ…



北山も奴を鏡越しに見ながら 話しかけてきた。



「ああ、ちょっとな、なぁ、今日 もう上がっていいか？」


「… 仕上がってないのに？」



言いたいことはわかる…



他にもまだまだやることがたくさんある…



でも、このままだと違う場にも亀裂が生じるかもしれない。



その証拠にスタッフたちもソワソワしながら 奴を遠巻きに見てる…



「早く元に戻せ、打ち合わせがやりづらくてしょうがない」


「ただし、今日だけだ、いいな」



今晩だけか…



なんとかするしかない。



しかし… 自覚させてもいいが、変な影響があるかも。



とくに あの彼女…



今は、それだけは避けたい。



さて… どうするか…



「太輔」


「… 何？」



声が低いつーの…


おまけに 全然 俺を見ない。


めちゃめちゃ機嫌悪い証拠。



「今日、もう終わりらしいから メシでも食いに行こ」


「はぁ？終わりって… 」



『 いいから、いいから 』と無理やり切り上げた。




でも、食欲がないのか 行きたがらなかった。




だから 俺はある提案をした…




それは…

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