恋人以上 友達未満 ７

切迫 ページ5

全てを諦めかけたそのとき


私を呼ぶ

愛しい人の声が聞こえた




私を見たジョンインさんはひどく悲しそうな顔をしていて


襲われた恐怖なんてどうでも良くなってしまった



「…ごめんな、A」


ドレスを整えてから優しく抱きしめ直してくれたジョンインさん

さっきから何度も何度も
“ごめん”って繰り返してる


ジョンインさんは何も悪くないのに




「…

…ソユナ
Aを頼む」

『え？』

「……」


私から離れてベッドから降りる


その目は…いつもと、違う




『Aちゃん
大丈夫？ごめんね…私、守ってあげられなくて』

「オンニこそ大丈夫だったんですか？男の人たちに連れて行かれて…
この怪我、もしかして」

『私は大丈夫』


ソユンオンニはそう言って悲しそうに笑う


心配させてしまったな…







「おい」

『…オッパ』

「あんた、自分が何をしたかわかってんのか？」

『……』


スマホを構えたまま固まっているダジョンさん

ジョンインさんが一歩近づく度に、その顔色は青白くなっていく


「言ったよな」

『え、？』

「Aに何かしたらあんたのこと殺すかもって」

『…でも

結局、未遂ですよね？
何もなかったじゃないですか。

羨ましいくらいですよ。
その人は何もしなくても、いつもオッパたちに守ってもらえて


私からの嫌がらせなんて
大したことないでしょう』



ダジョンさんが私の方に視線を向けた

その瞬間



『きゃっ、！』



ジョンインさんは片手でダジョンさんの首を掴み

そのまま壁に押し付けた



「ふざけんな」

『ゴホッ…

…オ、オッパ』

「“羨ましい”？
“大したことない”？

あんた
本気でそう思ってんのか？」

『…く、…くるし、…』


ダジョンさんの顔が赤くなっていく


ダメだ

止めないと



『おい！ジョンイナ
もう充分だ。手を離せ』

「……」

『ジョンイナ！』

『それ以上やると、本当に死んじゃうわよ』

「…

死ねばいい」

『え…？』

「こんなやつ

死ねばいいだろ」

『まっ…
待って、オッパ！

う゛っ…ゴホゴホッ』

「！」


ベランダへ続く扉を開け


ダジョンさんの首を押さえたまま
外に出てしまう



「ジョンインさん、」

『ジョンイナ！待って！』

『ダメだ！！やめろ！』

「…っ」



ダジョンさんの身体が持ち上げられるようにして宙に浮いて
下に落ちてしまいそう



『やっ、…やめ、…』


必死に抵抗するダジョンさんはベランダの手摺に何とかしがみついた

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