恋人以上 友達未満 ７

元気になって ページ18

ジョンインさんのかかりつけの病院はきっと、国内で最高峰と言われるようなところだろうけど

今回はセフンさんの配慮で
私の家の近くの病院に




いつもの病院だと、奥様やお義姉さんが会いに行って
ジョンインさんを連れ帰ってしまうことも考えられる

そうなれば、私たちはもう二度と会えなくなるかもしれないから








『この部屋です』

「……」



病室の前に立ち

深呼吸をする



『大丈夫ですか？』

「…ごめんなさい。緊張してしまって」

『久しぶりなんですもんね。

起きてるかな、ジョンインさん』


セフンさんの声を聞きながらゆっくりと扉を開けると


ベッドに横たわる
愛しい人の姿が見えた




「…

…ジョンインさん」



やつれた顔

色の悪い唇

目の下には隈もある



「ジョンイン、さん」



点滴に繋がれている腕が掛け布団の上に乗っていて


その指先に触れると
ひんやりとしていて驚いた



体温が高いはずなのに

いつも温かかったはずなのに



『Aさん
椅子をどうぞ』

「あ…」

『気をつけてください。今にも倒れそうだから』

「すいません。ありがとうございます」

『俺はロビーで待ってますね。ゆっくりして来てください』

「え？
でも…」

『大丈夫です。俺のことは気にしないでください。特に予定もありませんから』

「……」

『今は余計なことを考えず、ジョンインさんの傍にいてあげてください』


そう言って優しい顔で笑うセフンさん


今回のことを詳しく話せてもいないのに、申し訳ない



『おっと。あんまり仲良く話してるとジョンインさんが嫉妬しちゃいますね』

「……セフンさん」

『はい』

「本当に、ありがとうございます。
ジョンインさんのことも、私のことも、助けて頂いて。

このご恩は必ず」

『あはは！』

「え？"あはは"…？」

『Aさんって面白いですね』

「？」

『ご恩を返したかったら
お二人とも早く元気になってください』


"そして旦那さんを引き取ってくださいね"と微笑み、病室をあとにした






再び静かになった部屋の中には

私とジョンインさんの2人だけ




他に誰もいない

私たちだけの空間






「…ジョンインさん」


名前を呼んでも

目は閉じられたまま



偶に、眉間にシワが寄って苦しそう



嫌な夢でも見ているのかな




「……」



彼を見つめているだけで

自然と涙が溢れてしまう








その瞳に私を映して



また名前を呼んでほしい

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