87話 騒めき ページ41
炭治郎side
『……うそ、でしょ……』
鬼の討伐を終えた後、帰還するため隠の人を待っている時に突如上がった炎。
それを見たときのAさんの一言が脳裏から離れない。
負傷したこともあり、あまり匂いで判別することはできなかった。それでも、Aさんから漂っていた匂いは覚えている。普段の彼女からは考えられないほど、その心情は揺れていた。
―――後悔、恐怖、絶望。
これらが混ざり合い、彼女が何かに怯えていることが分かった。
その理由を、任務が終わってから聞こうと思っていた。けれど、Aさんは俺達の前に一度も姿を現さなかった。時間があれば顔を出してくれていたのに、チラッと扉の隙間から様子を伺うだけで何もしてこない。
「……なあ、善逸、伊之助」
「どうしたんだよ炭治郎。そんな暗い顔してさ」
「決まってるだろ。あの女に負けて悔しいんだ!」
「いや、それはお前だけだよ」
善逸と伊之助は、Aさんのことをあまり気にしていないようだ。
……俺の考えすぎなのか?
「……Aさん、なんか様子が変じゃなかったか?」
「……それって任務の時?」
「ああ……炎が上がったときかな」
「……まあ確かに、いつもと違う音はしてたね」
「……善逸も気づいていたんだな」
「……それがどうしたんだよ」
「俺は何も感じなかったぞ! 今度勝負を挑みに行く!」
「お前本当に空気読めねぇな」
「空気なんか見えねーぞ!」
「そうじゃねぇーよ! 雰囲気のこと言ってんの!」
ギャーギャーと騒ぎ出す善逸達。
その隣では、煉獄さんとしのぶさんが何やら真剣に話していた。二人の表情から、Aさんのことを話しているんだってすぐに分かった。
前と様子があまりに違うことに、みんな戸惑っている。Aさんはいつも笑顔で、時々寂しそうな匂いもしたけど、明るく過ごしていた。俺達の話も嬉しそうに聞いていたし。
それがどうして……あんなに変わってしまったんだろうか。
しばらくすると、慌ただしく誰かが入ってきた。
「しのぶ様、大変です! Aさんがっ…」
「落ち着いてください……一体何があったんですか?」
「……Aさんがどこにもいないんです!!」
息を切らしてその事実を伝えるきよちゃん。
「Aさんが……いなくなった?」
「本当にどこにもいなかったのですか?」
「手紙だけ……置いてありました」
その内容は、俺達にとってあまりにも酷なものだった。
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時