86話 もう気づく頃だよ ページ40
Aside
『きゃああああ!!』
『ひ、火だぁぁぁぁ!!』
火に怯え、そこから逃げ惑う人々。
『……ぁ、ぐあ……つ、妻に会わせろぉぉ……!』
『(居合 手刀 弐の型……爆炎)』
炎に身を包み、襲い掛かる―――“焔ビト”。
それを鎮魂する私。
合同任務で起きたあの出来事が、昨日のことかのように思い出される日々。無事全員生きて帰ることができて喜ばしいはずなのに、私の気分は沈んでいた。
煉獄さんと炭治郎達は怪我が酷く、戻ってすぐにしのぶさんに診てもらっていた。一日やそこらで治るはずもなく、蝶屋敷で安静にすることになった。
そんな彼らのお見舞いも、ある程度のお世話も、しなければならないはず。本当はすぐにでも様子を見に行って、自分ができる限りのことはしたい。
でも―――。
「………」
あれが終わってから私は彼らを避けるようになった。治療しているしのぶさんにも近寄りがたくなってしまったのだ。
廊下でしのぶさんとすれ違っても、病室の前を通るときに楽しい話声を聞いても、私は彼らに笑顔を向けることはなかった。
ただひたすら自室にこもり、頼まれる仕事や任務がない限り、外出を控えた。それは蝶屋敷内も例外ではなく、日常生活に支障をきたさない限り、一歩も部屋から出なかった。
自分でも何でこんな反抗期みたいなことしてるんだろうって思うよ。こんなことしたって何の解決にもならないことくらい分かってるけど。
『焔ビトだぁぁ!!』
―――あの時と同じことが起こっている。
その事実が、その現実が、夢じゃないことが分かっているから近寄れない。
“焔ビト”なんて、本来この世界に存在しない。私の発火能力のことも知らなかった。それなら、焔ビトなんていう人体発火現象を知るわけもないんだ。
「…っ…何で……」
何で今更なんて、どの口が言えるんだよ。
私がこの世界に来る原因になった場所は、敵のアジトだったんだ。油断していた私も悪いけど、この世界に奴らがいないとは限らない。
そんなことにも気づかないで、平然とここで生活していた。私がするべきことが何だったのかも忘れて、考えることも放棄して、この世界で過ごす日々を選んだ。
「………馬鹿だね、本当に……」
帰る手段なんて、探さなくてもあったんだ。
それなのに「帰れない」って思いこんでた。
―――そろそろ、動き出さないといけないんじゃないの?
・
146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時