68話 勝手に動いてしまうもの ページ22
鬼に従っていた人達は、自分達がしようとしていることが取り返しのつかないことだと気づいた途端、「嘘だ…」「そんなのって……」と絶望の表情を浮かべていた。私に攻撃を仕掛けてきた女の子も、その場で体を震わせながら戸惑っていた。
「…私達も…殺される……?」
「はぁ……勘のいい餓鬼だ」
「……人の弱みにつけ込むなんてあんたも大概だよ」
女の子を含めた乗客を背に、私は喋る手に再び刀を突きつけた。この子達が何をしようとしてたか分からないし、この鬼がどういう目的で彼らを利用したのかも知らない。
でも、ただ一つだけ確実に言えることがある。
「……人間様を舐めてもらっちゃ困るね、鬼さん」
「威勢のいい奴の相手は面倒だ」
ユラユラと消えていく手。まだ刀で斬っていないのにいなくなってしまった。こいつが本体じゃないことは分かっていたけど、逃げられたのは私のミス。
「…鬼の本体がどこにいるか知ってる?」
「……先頭車両…だけど、ここじゃない」
「……列車の先端ね」
旅客車両ではここが先頭だけど、この列車を動かす車両がまだある。鬼でも、ハイジャック犯とあまり変わらないことするんだね。占拠するために人を使い、この列車の操縦室を狙うなんてさ。
居場所をなんとなく察した私は、そこへ行こうと扉に手をかける。「あの…!」という先ほどの女の子の声が聞こえたからその手を止め、振り返った。
「どうしたの?」
「……わ、私達は、その……」
「……もう怒ってないし、責めるつもりもないよ。でも…それでも拭いきれない気持ちがあるなら、眠ってしまった人達を起こしてほしい」
「…っうぅ……はい、絶対に起こします。何があっても必ず…!」
「うん、頼んだよ。鬼は私が必ず倒すから」
震える体で拳を握り締め、怖いのを我慢して返事をしてくれた彼女。その勇気ある行動、一度は敵の手に落ちてしまったけれど、みんな思うことは一緒なんだと思う。
……―――助かりたい。
その思いは絶対に守り抜かないといけない。もちろん命もね。
「あー…勝手な行動して怒られるかなぁ……」
これが第8ならば、確実に火縄中隊長に怒られるね。
でも、今動けるのは私しかいない。出来る限りのことはしておきたいのは確かだ。彼らが起きれば百人力なんだろうけど、こんな現状を目の前に動かないなんて無理だからね。
勝手な行動だろうと許してくださいね。
私が一人、鬼の元へ向かってしまうのを。
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時