67話 目を覚まして ページ21
先頭車両へと進んでいく中で、不思議な感覚に襲われそうになった。幻想と現実の狭間を見せられるかのようにグラグラと視界が歪む。それが“鬼の血鬼術”とやらなのかは分からないけれど、今その術にかかるわけにはいかない。深呼吸を繰り返し、自分の意思を強く保つことに専念した。
やっとのことで着いた先頭車両。ガラガラ…と扉を開ければ、手に目玉をたくさんつけた謎の生物が「…君は何者なんだい?」と私に問いかけていた。その傍には、乗客であろう人達がいた。
「“鬼狩り”……そういえばいいのかな?」
「……君が鬼狩り? 全然そんな気配はしなかったけどな」
「……車掌さんとその人達に何をしたの?」
刀を向けながら喋る手に問いかける。私の言葉に、なぜか乗客の一人が「邪魔しないでよ!」と声を上げてきた。
「邪魔…?」
「私達は夢を見たいの! あんた達を倒したら見せてくれるって言われたんだ!」
「……その夢、一生覚めないかもしれないよ?」
「覚めなくてもいい。現実より良い夢なら覚める必要もない!」
「……自分の意志で、そいつに従ってるわけね」
ガチャンッと喋る手に向けていた刀を鞘に納め、その女の子へと歩み寄る。近づけばその子は「来るな!」と手に尖ったスティックを持って私に振りかざしてきた。それを難なくかわし、彼女の手を抑え込む。
「っつ……はな、せ……」
「……良い話には必ず裏がある。光と闇は表裏一体なの。あなたが夢を見ている間に、命を奪われない保証なんてない! 甘い言葉に惑わされないで!!」
「…そんなのっ…そんなの私の勝手でしょ!!」
「じゃあその勝手な思いで、多くの人を殺す手伝いをしてもいいわけ!?」
「…人を…殺す……? 夢を見せるだけじゃ……」
どこか驚いた様子の女の子。その後ろにいる人達も「殺す…?」と戸惑っていた。その反応から分かる通り、自分達は殺されないとでも思っていたのだろう。そして、人を殺す手伝いをさせられていることに気づいていなかった。
「……あなた達のその願いのために、この列車に乗っている乗客全員が危険な目に遭う。眠っている間に、こいつに殺されるんだよ? それでも、言うこと聞くの?!」
「そんな…そんなこと一言も言ってない! 嘘吐かないで!」
「…っまだ分からないの!? 殺される人の中にあんた達も含まれてるんだよ!!」
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時