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救急車に同乗してる間、
慌ただしく動く救急隊の姿と、けたたましく鳴り続ける機械音に頭がおかしくなりそうになった。
病院に着いてからだって、
何も分からず椅子に座って、ただただ彼女の無事を祈ることしか出来んかった。
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窓の外が少し明るくなり始めた頃、処置室から医者が出てきた。
医「気動がほぼ塞がった状態で大変危険でしたが、今は落ち着いています」
「よかった…… ありがとうございます、」
彼女が一命を取り止めた。
それだけで安心して、膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪える。
「あの、……彼女は、なんの病気なんでしょうか……」
そう聞けば、目の前の医者は不思議そうな顔をする。
医「……失礼ですか、彼女とのご関係は?」
「えっと……、」
好きって気持ちは伝えた。
けど、正式な恋人でもなければ、友人でも家族でもない。
その時俺は、なんて答えていいか分からんかった。
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結局、病気のことについては何も教えてもらえんかった。
当たり前やんな。
どこの誰かも分からんやつに、そんな個人情報教えてくれるわけがない。
……悔しかった。
寂しかった。
俺、彼女のこと何も知らんやん。
病気の話はやめようって約束したから、彼女が一体なんの病気かも分からへん。
今身体がどんな状態で、ここから先、どうなっていくんかも分からへん。
だから治らんなんて言われたって…… 信じられるわけもなかった。
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ICUに入れられてしまった彼女と会うことも出来ず、ただガラス越しに見るだけ。
横になってるAちゃんの顔は全然見えへんのに、
喉に繋がれた管と、たくさんの機械と、腕から伸びる点滴だけはしっかり見えるから余計に悔しい。
信じたくなくたって、彼女が病気で、身体が悲鳴を上げてることは嫌ほど伝わってきた。
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それから毎日、仕事終わりに病院に向かった。
仕事前も、行ける時は顔出して、
仕事以外の時間は全部、彼女に費やしてた。
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みーぽん(プロフ) - News9864915さん» ありがとうございます!(><) (2020年3月8日 16時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
News9864915(プロフ) - 最後泣いちゃいました泣 (2020年3月8日 16時) (レス) id: 7b9d7e55b8 (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 舞さん» はじめまして。コメントありがとうございます!発想を褒めてくださってすごく嬉しいです!最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。 (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - なつみさん» なつみさん!泣いてくださってありがとうございます… 次回作も頑張りますので、またよろしくお願いします! (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 雛里さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます……!感動していただけて安心(?)しました。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。 (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:望穂 | 作成日時:2020年1月24日 20時