22. 思い出と嘘 ページ22
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「……Aちゃん、さ、……なんかやりたいこととか、ないん?」
A「やりたいこと?」
「いや、ずっと家の中におるだけやん?どっか、行きたいとことか、ないんかなって、」
A「行きたいとこかあ……」
これはそう、遠回しなデートの誘い。
アイドルとして気遣わなあかん部分あるけどさ、残された時間、やっぱり楽しく過ごさせてあげたいやん。
俺自身も、Aちゃんとの思い出増やしたいってのが本音やけど。
A「川……、行きたいかな」
「え、川……?海じゃなくて?」
A「うん。川がいい。……ここの近くにね、思い出のところがあって」
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そんな彼女を連れて、次の休みの日にその場所に行った。
実は、家から歩いて行ける距離にあるのは驚いた。
こんな都会に、こんな綺麗な場所あったんやなあって思うぐらい静かなところ。
昔、家族でよく遊びに来てたんやって。
A「あ〜!懐かしいっ!」
「めっちゃええところやな!…あ、あんまはしゃぎすぎんようにな?」
A「うん!……あ、ねえ、見て!」
川の麓に着くなり、Aちゃんは見たことないぐらい元気な姿。
それだけで、なんか嬉しくなった。
そんな彼女が見せてきたのは、キラキラと光る石。
綺麗……!って、目を輝かせながら俺に手渡されるそれを見て、俺はとっさに口が動いた。
「……うわ!それ、待って、すごいやつやん……!」
A「すごいやつ?」
「ぉん、なんか昔友達から聞いたことある…… 7個集めたら願い事叶うっちゅーやつ!」
A「えっ……」
こんなデタラメな嘘、すぐバレると思って、
冗談冗談!なんて笑い飛ばそうと思ってたのに、
A「すごい……!知らなかった!私、もっと探す!」
彼女はもうこれでもかってくらい目をキラキラさせて、その石を探し始めた。
……そっか。純粋すぎて、そりゃ信じてまうよな。
その咄嗟の嘘を今更撤回なんか出来んくて、
ありもしない作り話をほんまにするたいに、俺も石を探した。
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みーぽん(プロフ) - News9864915さん» ありがとうございます!(><) (2020年3月8日 16時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
News9864915(プロフ) - 最後泣いちゃいました泣 (2020年3月8日 16時) (レス) id: 7b9d7e55b8 (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 舞さん» はじめまして。コメントありがとうございます!発想を褒めてくださってすごく嬉しいです!最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。 (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - なつみさん» なつみさん!泣いてくださってありがとうございます… 次回作も頑張りますので、またよろしくお願いします! (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 雛里さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます……!感動していただけて安心(?)しました。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。 (2020年2月1日 11時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:望穂 | 作成日時:2020年1月24日 20時