何でも屋と奇術師Ⅲ (ページ46)

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110話ページ46

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『いっ...』

キルアを庇うように背中に受けた球に体が悲鳴をあげる

ﾄﾞﾝ..ﾄﾞﾝ..

Aの背中から落ちた球はボーリング球以上の質量であるようだった

そのまま膝から崩れ落ちる

貴『っ...』

ﾋｿｶ「A...♣」

とっさにヒソカが支えてくれた

貴『ヒ...ソカ。』

背骨が軋み、上手く息が出来ない

ﾋｿｶ「...♦」

貴『(骨は...折れて、ない...

けど...めちゃめちゃ...痛い...)』

ヒソカに支えられながらなんとか、ゆっくり息を吸う

貴『もう...平気...』

そういって自立した彼女を、心配そうにヒソカが見つめた

０「A選手アウト！外野へ移動です。」

無機質に述べるナンバー０を一瞥しキルアへなおる

貴『集中...しなさい。』

Aの珍しくはっきりとした物言いに俯くキルア

ｷﾙｱ「ごめん...」

ふぅ、と軽く息をはいた後、頭をぽんぽんと軽く叩いた

貴『キルなら出来るよ、大丈夫。』

"キル" そのひどく懐かしい響きに思わずキルアが顔をあげた

彼の瞳に映ったのは、柔らかく笑うAだった

そのままコートの外へ移動する

ﾚｲｻﾞｰ「オレの球を真正面から受けてその程度で済むとはな」

すれ違い様に話しかけられた

貴『痛かったよ、だいぶ。』

ﾚｲｻﾞｰ「痛い、だけで済んでるだけましだろ？」

貴『まあね。』

彼の横を通りすぎようとしたとき、ゴンが口を開いたのが目にはいった

ｺﾞﾝ「バック！」

強い瞳をした少年が宣言する

この少年に言葉は要らない、そう直感した

貴『(ゴン、行ってらっしゃい。)』

コートへ向かう少年の瞳は既に敵を捉えていた

貴『さてっと...』

ゲームが進むなか、ツェズゲラとゴレイヌへ治癒を施した

彼らが完治する頃にはすでにゲームは最高潮を迎えていた

貴『(クライマックスってかんじ。)』

ビスケの隣で事の成り行きを見守る

文字どおり全身全霊をかけた一撃をゴンがレイザーにぶちこんだ

すべてをかけた戦いの末、倒れてしまったゴン

この試合、幾度となく限界に挑み、困難に立ち向かい、そしてそれを突破した彼に思う

貴『(間違いなく、貴方の勝ちだよ、ゴン)』

ﾋｿｶ「いや、まだだよ♦」

レイザーからの返球をヒソカが捕らえた

ﾋｿｶ「完璧に勝つ、だろ？♣

ゴン♦」

貴『(ヒソカ...)』