何でも屋と奇術師Ⅲ (ページ25)

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89話ページ25

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ヒソカ「そんなに怒らないでおくれよ♦」

未だに飄飄とした態度を崩さない彼に更に怒りを大きくした

貴『怒ってない。』

ヒソカ「怒ってるじゃないか♥」

そういいながら頭を撫でられただけで彼への怒りが静まっていくのは惚れた弱みというやつだろうか

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幾分かの静寂ののち、ヒソカが口を開いた

ヒソカ「マチのことは気に入ってるよ♦」

貴『っ...』

彼からの本心の告白に息がつまる

貴『そう...』

少なからず、傷ついていた

貴『(やっぱり、そうなんだ...)』

彼は抱き締めたまま続ける

ヒソカ「Aのことも気に入ってるよ♥」

貴『嬉しくない。』

他の女性と同じ、それは嬉しいことでは無かった

貴『(ヒソカにとって私ってそんなものだったんだ...)』

込み上げてきていた涙が再び、溢れそうになる

ヒソカ「最後まで聞いてくれよ♠」

そういって彼は続けた

ヒソカ「Aはトクベツだよ♥」

彼に対して不信感を抱いた今、嘘が得意な彼の言葉を信じる気にはなれなかった

貴『そう。嬉しい。ありがと。』

ヒソカ「信じてないねぇ♦」

貴『そんなことない。嬉しいよ。』

ヒソカ「やっぱりキミは嘘が下手だ♠」

ヒソカにはお見通しだったようだ

貴『うん。信じてない...

私のどこが特別なの？』

安心感が欲しかった

ヒソカ「それはヒ･ミ･ツ♥」

貴『(また、大事なとこではぐらかす...)』

分かりやすく落ち込むAをヒソカが見つめた

ヒソカ「知りたいかい？♦」

貴『知りたい。』

ヒソカ「ｸｸ♦我が儘なお姫様だ♥」

貴『教えて、ヒソカ。』

ヒソカ「うーん♣」

迷った挙げ句、ヒソカが告げた

ヒソカ「今度♥」

貴『...

そう。今度、ね。』

拭われない不信感がAの中に残った