何でも屋と奇術師Ⅲ (ページ24)

今日:2 hit、昨日:23 hit、合計:127,488 hit

88話ページ24

･
･
･

マサドラへ到着し、仮眠を取り終わる頃には朝日が顔をだしていた

貴『ふぁ...』

目を覚まし伸びをする

隣で寝ているヒソカに声をかける

貴『ヒソカ。』

上半身を起し、ベッドから出ようとしたとき

手をとられ、再びベッドへ戻された

貴『っ！！ヒソカ！』

ヒソカ「...♦」

尚も無言の彼に包み込まれる

貴『もう...』

それに応えるよう、彼の背中に手を回す

ヒソカ「ｸｸｸ♥」

それに満足したのか喉をならして笑う彼独特の笑い声が聞こえた

貴『やっぱり起きてた。』

ヒソカ「うん♦」

貴『おはよ。』

ヒソカ「おはよう♠」

貴『起きよう、ヒソカ。』

ヒソカ「まだ、良いだろう？♦」

貴『でも、スペルカード入手したいんでしょ？』

ヒソカ「手厳しいなぁ♥

マチ、みたいだねぇ♠」

彼が発した名前に少なからず反応してしまった

貴『(...。

マチとヒソカ...

どういう関係なんだろう...

二人は、何て言うか...

二人でいるとどこかすごくしっくり来るっていうか...

お似合い、なんだよね)』

自覚してしまっていた

マチもツンケンしてるように見えて実際はヒソカの戦闘能力は認めており、ペアを組むときはヒソカを信頼していたし

何より、ヒソカがマチを気に入っていることも認めざるを得なかった

彼女に抱いてしまった黒い感情が再びAの中で大きくなろうとする

貴『(だめ。醜い私を見せたくない...)』

ヒソカ「A？♦」

貴『ん？何？』

感情を隠すよう無理に笑う

ヒソカ「うーん♣

Aは嘘が下手だよね♠」

貴『っ...

そんなことない。』

ヒソカ「そんなことあるよ♦

ほら、今だって♠」

ヒソカに頬を包まれ、目が合う

貴『っ...』

幾度と無く見た彼の瞳に貫かれ、涙が込み上げる

ヒソカ「どうしたんだい？♦」

そう穏やかに問う彼にもう嘘はつけなかった

貴『ヒソカは、マチのこと...

好きなの？』

意を決して伝えた

･

･

ヒソカ「ｸｸｸ♦」

決断の返答として返ってきたのは笑い声だった

貴『なんで笑うの？』

ヒソカ「ごめんよ♦」

謝罪ともとれないような不真面目な謝罪だった

貴『もういい。本気で心配してる私が馬鹿だった。』

自身の心配事など、ヒソカの前では、いや彼にとっては取るに足らないことなのだと痛感させられた

きっと彼には本気な女性などいないのだ、とも