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『水龍よ、我が声を聞け。あの村すべてをお前にくれてやろう。存分に暴れるが良い』
忌々しげに小さな村を見下ろし、水神は両手を大きく振り上げた。
ごごごごぉぉぉ…
水龍の咆吼は天に轟き地を揺るがす。
禍々しくも美しい青きその姿は悠然と水神の上を旋回し、緩やかに上空を目指す。
『許さぬ。人間ごときが我が息子に危害を加えようとは』
「やめて、父様っ」
悲痛な声を上げる青蓮に水神は苦々しげに首を振り、眼光鋭く言い放つ。
『そのように痩せて弱っているのはその人間のせいであろう。
それ以上消耗してはお前の命も危ういというのに、まだわからぬか』
「父様…とうさま、お願い…」
『大人しく村が水没するところを見ておれ』
「やめてっっ」
青蓮は走る。
村へ
紫蓮のもとへ
―逃げて
―紫蓮
―逃げて
―逃げてっ
水龍が身体をうねらせるときらめく鱗が剥がれ落ち、それは豪雨となって降り注ぎ、大水が村へと怒濤のごとく流れてゆく。
風のように駆ける青蓮。
―どうしよう、間に合わない
―止めなくちゃ
―どうすれば…
―守りたいんだ
―失いたくない
―紫蓮
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「大丈夫だ、村長の館までいけば心配いらないから」
突然の豪雨に怯える村人を、紫蓮は赤芽とともに小高い丘の上にある村長の館に避難させていた。
「これで全員か？」
「ああ」
赤芽が人数を確認してうなずいた。
「俺、ちょっと様子を見てくる」
「おい、危ないからよせ」
「心配なんだ」
「何が？もう全員ここにいるぞ」
「違うんだ。あいつはひとりで…っ」
「あいつって…っおい、紫蓮っ」
「ここは任せたっ」
豪雨の中、飛び出した紫蓮は森へと走る。
ここ数日、いくら待っても青蓮は泉に現われなかった。
何かあったのだ。
紫蓮は不安に駆られ青蓮のもとへ走る。
―今、行くから
―俺が守る
―何があっても俺がお前を守るから
「青蓮っ」
村を出て森へ向かう途中、村へと走る青蓮を見つけた紫蓮は両手を広げてその身体を抱き留めた。
「し…れん、に…げ…」
青白い頬と痩せ細った身体に息をのむ紫蓮。
「にげ…て」
息を切らした青蓮は思うように言葉を紡げず、紫蓮には伝わらない。
「青蓮、何があった？」
息を整えようと喘ぎながら青蓮は絶望に呑み込まれ瞼を閉じた。
―あぁっ
―間に合わない
山肌を削りながら大水が迫る。
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ＡＫＩＲＡ(プロフ) - mioさん» そんなふうに受け取ってもらえて嬉しいです。穏やかで優しい空気と木漏れ陽に満たされたカフェで、わたしも忙しい日常を忘れて癒やされたい〜またこのカフェのお話は描きたいと思います。ふわふわ笑う長男と優しい眼差しの五男。いつになるかは分からないけど（笑） (2020年5月13日 0時) (
レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - カフェクローバー、どこかにないかな(笑)。仲良く2人でお仕事してるのを、通りがかった窓越しに見るのとかも癒されそう(*^^*)じゅんくんと一緒にいるサトシくんは、ほわほわと幸せそうで素敵です。揺るぎない愛情の中で微笑むサトシくん、私も幸せ頂きました(^^) (2020年5月11日 22時) (レス) id: 075ae85cbe (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - bunkichiさん» ふたりのなれ初めは長くなるからやめたんですが、思い浮かべたシーンはあるのでいつか描こうかな。賑やかな感じになると思うけど（笑）気長に待っていてくださいね。ソラリスの外伝は、全部名前を入れ替えて、手直しして…来月あたりからアップできるかな。 (2020年5月11日 21時) (レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
bunkichi(プロフ) - AKIRAさん、最後までほのぼのないちごが素敵でしたよ。ぜひ、2人のなれそめも書いてほしいなあ。ソラリスも楽しみ。待ってます。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: 4161089d38 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - bunkichiさん» bunkichiさん、お待たせしました（汗）こんなにお待たせする予定じゃなかったのに…それでもこのお話は新緑の季節を想定しているのでジャストタイミングということで（笑）お待たせした分、一気にアップしますよ〜後半もお楽しみに！ (2020年5月10日 21時) (レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2019年8月22日 0時
