絵本2 (ページ4)

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ある日の夜の出来事　#一次創作　#NL ページ4

お酒を飲んで、千鳥足になりながら自分の部屋へ帰る。
　化粧落とすのめんどくさいなんてボヤいて化粧を落とすと、昔はなかったはずのニキビとシミを見つけてしまう。
　まだまだ若いと思っていたんだけどなぁ、とため息をついていると、愛しの人がひょこっと顔を覗かせた。
「おかえり。」
「ただいま。お仕事お疲れ様。」
「うん。ねー、今日の夕飯はなに？」
　愛しの人と言ったけれど、最近この瞬間だけ無性に腹が立ってしまう。
　私、お酒飲んで帰ってきたんだよ？前から伝えてあるよね？と叫びたくなる。
　それでも私はご飯くらい自分で用意しろ！と言えない。
　結婚してもらう条件に「ご飯を毎日作る」とあったからだ。そんな約束しなければよかった、なんて思っても後の祭りだ。
　別に亭主関白というわけでもないし、友達からも『料理や家事をするだけでこんなにいい人と結婚できるだなんて羨ましい』と言われるのだ。
　優しくて、頼り甲斐があって、ちゃんと稼ぎもあって、ちゃんと私を愛してくれる。
　それでも、やっぱり嫌だ。
「ど、どーしたの？」
　愛しの人は眼を丸くして私を見ている。
　引き寄せて、彼の首に腕を回す。
　彼の顔が完全に見えなくなると同時に、いつもの香水の香りがふんわりと私の身を包む。
「酔っちゃった？」
「うん。酔っちゃった。」
「結構飲んだんだね。薬いる？」
「ううん。こうしていて欲しい。」
　きっと困った顔をしているだろう。お腹すいたしか考えていないかもしれない。