Ep.7 つまり「私」は「二周目の私」であって。 ページ7
あぁ。
あの方だ。
一瞬視界の端に映っただけなのに、それだけでわかる。
もしかしたら、「一周目の私」の記憶がなければわからなかったのかもしれない。
でも、何故だろう。
たとえその記憶を持っていなくても、わかる気がした。
……私がイレギュラーだからだろうか。
_____声が聞こえる。
静かに、しかし凛と芯を通して響く声。
夜の闇の中でも、凄まじい戦火の中でも、その声を見失うことはなかった。
あの方の声だ。
……気付いた時には、涙を流していた。
目の前に咲く琉璃百合が、その輪郭を滲ませる。
「これ」は、「一周目の私」の感情ではない。
あぁ、そうか。
そうだった。
不要な感情だ、と深くに追いやって、そのまま忘れていたのか。
____今から遠い昔、
誰よりも長く、近くにいたいと願っていた。
…あぁ、最悪だ。
また一つ、絶対に逃げなければいけない理由が増えてしまった。
過去は、過去だ。
記憶だけを引き継ぎ、仙人でなくなった私にあの時の「契約」の続きは存在しない。
つまりそれは
数百年分の恋愛感情を持った知らない人間の誕生ってわけであって。
そんな自分の状況を客観視した私は、あまりの悪条件に思わず笑った。
___大丈夫、理解できている。
私にできることは変わらない。
ただ、凡人として生きはじめたあの方が、今まで背負ってきたことの分だけこの世界を楽しんでくれることを願って。
そして、私が「それ」を壊さないことを願って。
「大丈夫、私とあの方は出会わない。」
大丈夫、「私」は
……多分。
あんまり自信はない。
だから全力で逃げるんですけどね。もちろん。
でも、感情は違えど目的は一緒。
結局、原点回帰。
逃げるしかないのだ。
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ブックマーク@りんごおれ(プロフ) - ものすごく最高です応援しています! (2023年3月4日 17時) (レス) id: 30dece2dde (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ありがとうございます……! 大遅刻更新ですが、良ければこれからもどうぞよろしくお願いいたします……! (2022年12月23日 22時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても面白い作品ですね!!楽しく読ませてもらっています。更新楽しみにしてますね!!! (2022年12月2日 22時) (レス) id: 7981f63c4d (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - 有害物質さん» 読んで頂きありがとうございます! 更新頻度は遅くなってしまっていますが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです……! (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ゆいピさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます……! もうなんと言いますかどんどん無料で読んで頂ければ嬉しいですといいますか……! 良ければこれからもどうぞよろしくお願い致します…!! (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろぐみ | 作成日時:2022年3月30日 16時